平家物語の群像 平忠盛⑤腐りきった性根
瓶子(へいし へいじ 平氏)貴族たちは、舞いを舞っている忠盛に対して、「伊勢へいじは すがめなりけり」と囃し立てるが、なぜ、そのことが忠盛を侮辱することになるのか。頭の体操のようだが、表の意味はこうだ。伊勢地方では当時、酢を入れる粗末な瓶子(へいし:酒器=徳利)が生産されていて、伊勢の酢甕(すがめ)は有名だった。すなはち、伊勢地方では、徳利に酢を入れていた。この意味で、「伊勢へいじは...
View Article平家物語の群像 平清盛⑤妻たちと娘たち
平時子(二位の尼)と安徳天皇 山口県下関市○先妻 明子(高階基章の娘 重盛と基盛の母 加藤あい)○後妻 時子(二位の尼 深田恭子)中流貴族・平時信(公家平氏。清盛の流れは武門平氏)の娘。平滋子(建春門院 後白河譲位後の妃 高倉天皇の生母 成海璃子)は異母妹。平時忠(「平家にあらずんば人にあらず」...
View Article平家物語の群像 平清盛⑥息子たちの虚実
平重衡 安福寺所蔵『平家物語』は、文字通り「物語」である。すぐれた文学作品であり、歴史的事実を客観的になぞる「史書」ではない。「物語」を面白くする効果をねらって、時には嘘をつく。嘘があるからといって、作品としての価値が下がるわけでは無論ない。ここでは、息子たちを『平家』の内容に即して並べ、個々人を独立させて記述するときに、「嘘」の部分を指摘したい。○嫡男 重盛 (母は明子 小松内府...
View Article平家物語の群像 鹿ヶ谷の陰謀②主なメンバー
藤原成親五輪の塔 吉備の中山 岡山市左大将の位を義弟の重盛に奪われた成親は憤り、このままでは朝廷の高位高官はすべて平家一門に独占されてしまうのではないかと危機感を抱き、平家打倒の急先鋒になった。平氏政権転覆を企てる密議に加わった面々○藤原成親...
View Article平家物語の群像 鹿ヶ谷の陰謀③謀議のあとの酒宴
猿楽 (金春座)平家打倒のはかりごとを終えた酒宴の席のこと。酔っぱらった成親が立ちあがったはずみで、後白河法皇の前に置いてあった瓶子(へいし、へいじ 酒徳利)を、袖に引っ掛けて倒してしまった。後白河法皇が、「これは、一体どうしたことだ」と問うと、成親は、「瓶子(平氏)が倒れました」。法皇が、成親の当意即妙のシャレに気をよくして、「みなの者、猿楽(さるがく...
View Article平家物語の群像 鹿ヶ谷の陰謀④捕縛そして処罰
小松内大臣平重盛公墳墓 「忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず」『日本外史』頼山陽鹿ヶ谷の陰謀に加わって処分された顔ぶれ・藤原成親...
View Article平家物語の群像 鬼界ヶ島②泣き叫ぶ俊寛
足摺をして泣き叫ぶ俊寛礼紙(らいし:包み紙)に書いてあるに違いないと思って礼紙を見るが、やはり「俊寛」の文字はない。そんなはずはない、何かの間違いだろう。赦免状の初めから終わりへ、終わりから初めへと何度もなんども読みなおすが、二人とあって三人とは書かれていない。...
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