殿下乗合事件
平家一門がこの世の春を謳歌していたころ、一門の勝手気ままな振る舞いに比例するかのように、世間では反平家の機運が高まっていた。
主たる要因が3つある。
第1に、嘉応2(1170)年7月の殿下乗合事件
『平家物語』によると、摂政・藤原基房の車列が平資盛の一行と鉢合わせしたとき、資盛が下馬の礼をとらないことに基房の従者が腹を立て、資盛を馬上から引き摺り下ろして辱めを加えた。
これを聞いた資盛の祖父の清盛は激怒して、新帝元服加冠の儀のため参内する基房の車列を300騎の兵で襲撃。
随身たちを馬から引き摺り下ろして髻(もとどり)を切り落としたり、牛車の簾(すだれ)を引き剥がしたりなどの報復を行った。
基房は、参内(さんだい)できず面目を失う。
これを聞いた重盛は、資盛を叱責して伊勢で謹慎させる。
人々は平家の悪行を怒る一方で、重盛をほめたたえた。
第2に、承安元(1171)年の徳子の入内
清盛の娘・徳子は後白河法皇の猶子(養女)になり、高倉天皇に入内(じゅだい)。
翌年、中宮になった。
平氏は成り上がりであり、中宮になれるき家柄ではない。
徳子の入内は、貴族たちの反感を深めた。
第3に、治承元(1177)年の成親ではなく重盛と宗盛の昇進
内大臣で左大将(常設の武官職の最高位)の藤原師長(もろなが)が左大将を辞任。
何人もの貴族が後継を希望するが、とりわけ藤原成親(なりちか)が後白河法皇の寵臣であることを頼みに、強引にその地位に就こうとしていた。
ところが、左大将には右大将の平重盛が昇進、右大将には弟の宗盛が就いた。
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