俊寛「乗せてゆけー、連れてゆけ~」
鹿ヶ谷の陰謀発覚により、俊寛僧都と藤原成経と平康頼の3名は鬼界ヶ島へ流された。
『平家物語』によると、
鬼界ヶ島は舟はめったに通わず、人影はまばら。
住民は色黒で、話す言葉は理解できない。
男は烏帽子(えぼし)をかぶらず、女は髪を下げない。
農夫はおらず穀物の類はなく、衣料品もない。
島の中ほどに高い山があり、いつも火を噴いている。
硫黄がたくさんあるので、この島を硫黄島ともいう。
3人は島に粗末な小屋を建てた。
都に戻れる日を胸に、木の芽を摘んだり海辺で貝を拾ったりして命をつないでいた。
ある日、待ちに待った使者がやってきた。
丹左衛門尉基康という。
「都から流された成経殿と康頼殿はおられますか~」
大声を張りあげたが、成経と康頼はいつものように熊野詣でに出かけている。
熊野権現を信仰していた二人は、島を歩き回って熊野に似た地形を本物の熊野に見立てていた。
滝を見つけると那智大社、峰があると、あれは本宮これは新宮などといいながら九十九王子までを決め、熊野詣での真似をして帰京の日を祈願していたのだ。
俊寛だけが浜辺にいる、
「何事ですか。私が都から流された俊寛です」と名乗ると、基康は清盛からの赦免状を取り出して、俊寛に渡した。
「陰謀の罪は遠流の刑に服したことで赦す。帰京の準備をせよ。中宮のお産祈願のために特赦を行う。鬼界が島の流人、少将成経と康頼法師は赦免する」と書かれている。
俊寛という文字は、どこにもない。
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平家物語の群像 鬼界ヶ島①俊寛という文字はない
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