㊴藤壺宮 陸
源氏物語名場面㊴ 藤壺宮 陸 蘆山寺ろさんじ『源氏物語』は当邸(紫式部の邸宅跡)で著されたと考えるのが妥当だろう。《須磨》《明石》は【石山寺】で執筆されたという伝承を蔑ろにするのではなく、紫式部が【石山寺】参籠中に『物語』の着想を得たという説は信憑性が高いような気がする。■アクセス【京都御所】見学後、【仙洞御所】を右に見て徒歩7~8分ほど上京区寺町通広小路上ル北之辺町 🔲...
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源氏物語名場面㊵ 藤壺宮 漆 国宝 阿弥陀如来像光源氏はこんな顔!?棲霞寺せいかじの本尊★棲霞寺/阿弥陀堂は【清凉寺】/嵯峨釈迦堂の境内に△棲霞寺/阿弥陀堂嵯峨天皇の第12皇子で光源氏の最有力のモデルとされる左大臣源融みなもとのとおるの山荘《棲霞観》を融の死後寺に改めて【棲霞寺】と号した。□『阿弥陀如来像』は融の子息が父の供養のため父に似せて造立。 🔲...
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源氏物語名場面㊷ 浮舟 壱 浮舟関連系図 予備知識浮舟は『宇治十帖』後半のヒロイン。源氏の異母弟宇治八の宮の三女。大君と中の君の異母妹で大君とそっくり。母は八の宮に仕えていた女房の中将の君。浮舟は父八の宮から娘と認知されなかった。 🔲 浮舟は母の再婚に従って東国へ下り受領階級の常陸介の継娘として成長した。...
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源氏物語名場面㊷ 浮舟 弐 薫と浮舟 ☆予備知識Ⅱ薫系図上は源氏の息子だが実父は女三宮と密通した柏木匂宮源氏の直孫今上帝と明石中宮の皇子 🔲 中の君の発案で今なお亡き大君の面影を追っている身持ちの固い薫に託した。 薫はすぐに浮舟を宇治の自分の《別荘》に移す。 薫自身は稀にしか《別荘》に出かけない。...
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源氏物語名場面㊸ 浮舟 参 匂宮と浮舟 🔲 しかし時間がたち気持ちが落ち着くにつれて別の感情が浮舟に生まれていた。 淡泊な薫とちがい情熱的に愛情を示す匂宮に次第に魅かれていくのである。 匂宮、 ○長き世を 頼めてもなお 悲しきは ただ明日知らぬ 命なりけり 行く末長い仲を約束してもやはり悲しいのは人の命は明日をも知れぬことです 浮舟、 ○心をば 嘆かざらまし 命のみ 定めなき世と...
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源氏物語名場面㊹ 浮舟 漆 橋姫神社橋姫は『橋の守り神』祭神は瀬織津比咩せおりつひめ。境内には水の神『住吉神社』が並んで祀られている。 京都府宇治市宇治蓮華 🔲 薫が一杯機嫌で「古歌」を口ずさむ。 ○さむしろに 衣片敷き 今宵もや 我を待つらむ 宇治の橋姫 『古今集』巻十四 狭い敷物の上に衣の片袖を敷いて寂しく一人寝をしながら、今夜も私を待っているのだろう宇治の橋姫のような恋人は...
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源氏物語名場面㊺ 浮舟 伍 宇治の橋姫般若のような形相で鱗文うろこもんの着物を着打杖うちづえを手にした鬼女女神 国際日本文化研究センター所蔵 🔲 数日後薫と匂宮双方の使者が薫の《別荘》で偶然鉢合わせした。 匂宮との仲が薫に知られ翌日心変わりをなじる内容の手紙が薫から届いた。 浮舟は何とも名状しがたいショックを受ける。 ■...
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源氏物語名場面㊻ 玉鬘 壱 玉鬘関連系図■予備知識《玉鬘十帖》22帖『玉鬘』~31帖『真木柱』☆玉鬘は内大臣/頭中将と夕顔の娘。 筑紫の『太宰府』で乳母に育てられ帰京後源氏の養女となる。 冷泉帝や数多の貴公子に求婚されるが嫌っていた無骨な髯黒大将と結婚。☆京~筑紫~肥前~京と長い流浪の末源氏と関わった女君には珍しく穏やかな後半生を送る。 ■...
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源氏物語名場面㊼ 玉鬘 弐 都府楼跡/太宰府政庁正殿跡◇【都府楼跡】には2、3度足を運んだことがありますが、後年同地を整備したのであろう【太宰府政庁正殿跡】には訪れたことがありませんでした。■7世紀後半から12世紀後半にかけて九州を統括する行政機関として機能し『西の都』としての役割も果たしました。 福岡県太宰府市公式ホームページ 《遠の朝廷》とも 🔲...
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源氏物語名場面㊾ 玉鬘 漆 観世音寺本堂 梵鐘日本最古 国宝★【太宰府政庁正殿跡】の近くに菅原道真ゆかりの【観世音寺】がある。 道真は大宰府に流されて以来屋敷の門を閉じて蟄居していたが、部屋からは【都府楼】の楼閣の瓦が見え、【観世音寺】の鐘の音が聴こえる。 ○都府楼纔看瓦色 観音寺只聴鐘聲 『大鏡』 都府楼はわずかに瓦の色を看る 観音寺はただ鐘の声を聴く 🔲...
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源氏物語名場面㊿ 玉鬘 伍 七県の「島」をナゼ九州と称するのかの回答図 🔲 肥後国の大豪族大夫監は肥前国に乗り込むと財力にものを言わせて乳母の三人の息子たちを篭絡しようとした。 大夫監が提示した莫大な謝礼に目が眩んだ次郎と三郎は意見を変えた。...
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源氏物語名場面51 玉鬘 陸 鏡神社鏡山の麓に鎮座 佐賀県唐津市 唐津市の鏡神社が『源氏物語』に登場するワケ紫式部と便りを交換していた友人が《肥前守》に任じられた父に伴い肥前国へ下っていたから ○ あひ見むと 思ふ心は 松浦まつらなる 鏡の神や 空に見るらむ 『紫式部歌集』 あなたに会いたいと思うわたしの心はあなたの住む肥前国松浦の鏡の神が空から見ておられることでしょう...
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源氏物語名場面52 玉鬘 漆 🔲 大夫監は乳母の言葉など気にも留めない。 一方的に《結婚式の日取り》を決めて肥後国へ帰りしな乳母に通告した。 「4月20日に、姫君を迎えに来るので―」 ■ 不安に駆られた乳母は玉鬘や豊後介ら子供たちと相談した。 「これから、どうすべきか」 玉鬘は秘かに心に決めている。 「大夫監と結婚するぐらいなら死んだ方がまし」...
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源氏物語名場面㊾ 玉鬘 捌 🔲 四人は【鏡神社】前の海辺でちっぽけな舟に乗り京へと漕ぎ出した。 ただ一人だけ見送りに来た長女のおもとは舟影が見えなくなるまで千切れんばかりに手を振っている。 ■ 「我々の肥前国脱出に大夫監が気がつけば直ちに追っ手を差し向けるだろう」 そう予想していた豊後介は予め特別仕立ての「早舟」を用意しておいた。...
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源氏物語名場面53 玉鬘 玖 響ひびきなだ灘 🔲 「*河尻が見えたぞ~」 *川尻 淀川の河口 舟子たちが歓声を上げている。 逃避行が成就して気持ちに余裕ができたからか豊後介と兵部の君は肥前国に残してきた家族に思いを馳せている。 ■ 豊後介「妻子のことをすっかり忘れていた。姫君の姿が見えないので今頃大夫監が怒って妻子に当っていないか心配だ」今さら後悔臍を噛んでいる。...
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源氏物語名場面55 玉鬘 拾 平安京南端の九条大路通りに沿って東寺や東福寺、羅城門跡や西寺跡がある。 🔲 都の外れの貧しい界隈で、卑しい市女や商人などが住んでいる。 玉鬘一行は一旦《九条》に腰を据えたが、何をすることもなく秋風が吹き始めた。 唯一の男であり乳母が頼りにしている豊後介はまるで陸に上がった河童のようだ。 表情に生気がなく、日がな一日ボンヤリしている。...
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源氏物語名場面56 玉鬘 拾壱 石清水八幡宮/男山八幡宮 「仁和寺にある法師、年寄るまで、石淸水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞ一人、徒歩よりまうでけり。― ― ―何事にも、先達はあらまほしき事なり」 吉田兼好『徒然草』 ◆ 石清水八幡宮 平安時代前期に八幡宮総本社の【宇佐神宮】(大分・宇佐市)から勧請された神社。京都盆地南西の男山(鳩ヶ峰 標高143m)山上に鎮座。...
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源氏物語名場面57 玉鬘 壱弐 玉鬘一行玉鬘 乳母 豊後介 兵部の君 家来☆都の最南端《九条》から初瀬の【長谷寺】へ。途中椿市の宿で故夕顔の侍女だった右近と遭遇する。 🔲 玉鬘は乳母や豊後介たちに励まされ美しい顔に汗水を垂らしながら足を運ぶ。 《九条》を発って4日目の午前10時ごろ一行は*椿市という長谷寺参詣の入口の町に到着した。☆...
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源氏物語名場面58 玉鬘 壱参 折おしき敷狭い薄板を折り四囲の縁にした角盆足つきの折敷もある 神事や食事に使う 🔲 日暮れ方屏風の向こう側に予約客が大勢でだが足音を忍ばせてやって来た。 見るからに身分の高そうな女君ふたりに数多の男女が従っている。 屏風の両側とも大声を出したり余計な物音を立てたりしないように気を遣っていた。 ■ 豊後介が夕食を《折敷》に載せて運んできた。...
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