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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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53玉鬘 捌

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源氏物語名場面㊾

 

玉鬘 捌

 

 

 

 

🔲

 

四人は

【鏡神社】前の海辺で

ちっぽけ舟に乗り京へと漕ぎ出した。

 

ただ一人だけ見送りに来た長女のおもと

舟影が見えなくなるまで千切れ

ばかりに手を振っている。

 

 

我々の肥前国脱出に大夫監気がつけば

直ちに追っ手を差し向けるだろう」

 

そう

予想していた豊後介予め

特別仕立ての「早舟」を用意しておいた。

 

かてて加えて

玄界灘に漕ぎだすと

追い風が吹いて来たので

追っ手振り切ることができた。

 

心配だった海賊に襲われることもなく

響灘の荒波無事通り抜けた。

 

 

兵部の君

 

○*浮島を   漕ぎ離れても   行く方や

      

   いづく泊りと   知らずもあるかな

 

*浮島 「憂き島」を掛けている

 

 辛いことの多かった島を漕ぎ離れても

行方も何処に泊まるのかも分からないのですね

 

玉鬘

 

○ 行く先も   見えぬ波路に   舟出して

 

   風にまかする   身こそ浮きたれ 

 

行方も知れない波路に舟出して

風まかせの身の上こそ頼りないことです

 

乳母

 

○ 憂きことに   胸のみ騒ぐ   響きには

 

         響の灘も   さはらざりけり

 

不快なことにいつも胸騒ぎがしていたので

それに比べれば

響の灘もさほどではありません

 

 

「*河尻が見えたぞ~」

 

*川尻   淀川の河口 

 

 

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