源氏物語名場面㊾
玉鬘 捌
🔲
四人は
【鏡神社】前の海辺で
ちっぽけな舟に乗り京へと漕ぎ出した。
ただ一人だけ見送りに来た長女のおもと
は舟影が見えなくなるまで千切れ
んばかりに手を振っている。
■
「我々の肥前国脱出に大夫監が気がつけば
直ちに追っ手を差し向けるだろう」
そう
予想していた豊後介は予め
特別仕立ての「早舟」を用意しておいた。
かてて加えて
玄界灘に漕ぎだすと
追い風が吹いて来たので
追っ手を振り切ることができた。
心配だった海賊に襲われることもなく
響灘の荒波も無事通り抜けた。
■
兵部の君、
○*浮島を 漕ぎ離れても 行く方や
いづく泊りと 知らずもあるかな
*浮島 「憂き島」を掛けている
辛いことの多かった島を漕ぎ離れても
行方も何処に泊まるのかも分からないのですね
玉鬘、
○ 行く先も 見えぬ波路に 舟出して
風にまかする 身こそ浮きたれ
行方も知れない波路に舟出して
風まかせの身の上こそ頼りないことです
乳母、
○ 憂きことに 胸のみ騒ぐ 響きには
響の灘も さはらざりけり
不快なことにいつも胸騒ぎがしていたので
それに比べれば
響の灘もさほどではありません
■
「*河尻が見えたぞ~」
*川尻 淀川の河口
YouTubeで見る
クリックすると
【大河ドラマ「光る君へ」】