源氏物語名場面㊺
浮舟 伍
宇治の橋姫
般若の
ような形相で
鱗文うろこもんの着物を着
打杖うちづえを手にした鬼女女神
国際日本文化研究センター所蔵
🔲
数日後
薫と匂宮双方の使者が
薫の《別荘》で偶然鉢合わせした。
匂宮との仲が薫に知られ
翌日
心変わりをなじる
内容の手紙が薫から届いた。
浮舟は
何とも名状しがたいショックを受ける。
■
薫は
匂宮が《別荘》に侵入できないように
屈強の男たちを雇って周辺を警戒させた。
「わたしのせいで、お二人が―」
追い詰められた浮舟は死を決意、
宇治川に身を投じる。
しかし
死にきれず
山道で行き倒れている
ところを*横川の僧都に救われ
のちに僧都の手により出家する。
*横川の僧都
『往生要集』の源信僧都がモデル
■
死を目前にした日
浮舟は
薫や匂宮、母中将の君
異母姉中の君らとの思い出に
浸ったのち匂宮と母に手紙を認めた。
匂宮へ、
○からをだに 憂き世の中に とどめずは
いずこをはかと 君も恨みむ
せめて亡骸をこの辛い世の中に残さなければ
どこを目処に貴方は私をお恨みになりましょう
母へ、
○後にまた あい見んことを 思わなん
この世の夢に 心まどはで
来世で再びお会いすることを思って下さい。
この世の夢に迷わないで
次回から、玉鬘