源氏物語名場面57
玉鬘 壱弐
玉鬘一行
玉鬘 乳母 豊後介 兵部の君 家来
☆
都の最南端《九条》から初瀬の【長谷寺】へ。
途中
椿市の宿で
故夕顔の侍女だった右近と遭遇する。
🔲
玉鬘は
乳母や豊後介たちに励まされ
美しい顔に汗水を垂らしながら足を運ぶ。
《九条》を発って4日目の午前10時ごろ
一行は*椿市という長谷寺参詣の
入口の町に到着した。
☆
*椿市/海柘榴市つばいち
奈良県桜井市三輪付近にあり、
古代から水陸交通の要地であった。
平安時代以降、
長谷寺参詣の入り口として栄えた。
■
玉鬘は疲れ切っているうえに
足の裏の痛みがひどくて
もはや一歩も歩けない状態である。
宿を借りて、
しばらく休むことにするが宿は満室。
豊後介は
予約している客が
まだ来ていない部屋の一角を
貸してくれるよう宿に頼み込んだ。
乳母は
外から見えないよう部屋の
片隅に屏風を巡らし静かにしていた。
豊後介は
【十一面観世音菩薩】に供える
お灯明などを調達するため町に出かける。
■
日暮れ方、
屏風の向こう側に大勢の予約客がやって来た。