源氏物語名場面㊻
玉鬘 壱
玉鬘関連系図
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予備知識
《玉鬘十帖》
22帖『玉鬘』~31帖『真木柱』
☆
玉鬘は
内大臣/頭中将と夕顔の娘。
筑紫の『太宰府』で乳母に
育てられ帰京後源氏の養女となる。
冷泉帝や
数多の貴公子に求婚されるが
嫌っていた無骨な髯黒大将と結婚。
☆
京~筑紫~肥前~京と長い流浪の末
源氏と関わった女君には珍しく
穏やかな後半生を送る。
■
「玉鬘」とは毛髪の美称。
毛髪は
自分の意に反して伸び続けるから
文学では古来
「ままならない事」や「運命」を象徴。
玉鬘の前半生は
数奇な運命と自らの美貌が引き
起こす活劇のような騒動に翻弄される。
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玉鬘は
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玉鬘は
内大臣/頭中将と夕顔の間に生まれた。
夕顔は
頭中将の正妻に「屋敷を壊す」
「荒くれ男どもを寄こす」などと脅され
娘を乳母に預けて
都の外れに隠れ住んでいたとき
源氏と出逢い
逢瀬の最中に何者かに襲われて絶命。
□
夕顔の死を知らないまま
乳母は4歳の玉鬘の手を引いて
夫/*太宰少弐の赴任先である筑紫へ下る。
*太宰少弐/太宰府政庁の次官
一行の舟が
瀬戸内の海を西に進んでいるとき
幼い玉鬘は母親が恋しいのか
何度となく乳母に尋ねた。
「このお舟、母上の所へ行くの?」