二十二帖 玉鬘
光源氏.太政大臣 35歳
紫の上27 玉鬘 21 夕霧中将14
ほかに、空蝉と末摘花は、『六条院』の前の
光源氏の住居『二条院』で暮らしている。
光源氏 紫の上 夕霧 玉鬘 頭中将 右近 豊後介 女三宮
地位からすると、光源氏や頭中将
が最終的に上りつめた系図になっています。
紫の上は光源氏「最愛の妻」で
とても幸せな人生を送ったヒロインという
イメージがありますが、立場はあくまで「正妻格」。
「正妻」は、六条御息所の生霊に取り殺された葵の上
と、のちに紫の上を悲しみと苦しみの境遇
に追いやった女三宮の二人です。
源氏、長男の夕霧に
「長いあいだ行方不明だったお前の姉が、やっと見つかった。
やはり花散里に預けるので、仲良くしてほしい」
自分に姉がいることを知らなかった夕霧は心底おどろいて、すぐに玉鬘の部屋を訪ねた。
夕霧はもちろん、玉鬘が「実の姉」と信じている。
「姉上、初めてお目にかかります。
弟の夕霧と申します。
おろか者ですが、お引っ越しのお手伝いをしとうございました。
どうして、呼んでくださらなかったのですか」
源氏の息子にしては、夕霧はきわめて真面目で誠実な人柄である。
夕霧の玉鬘に対する心のこもった言葉に、控えている女房たちは夕霧が気の毒で居たたまれない思いであった。
女房たちは大宰府に下向した時いらい玉鬘に仕えているので、玉鬘が源氏ではなく内大臣(頭中将)の娘であることを知っているからだ。
また、父・内大臣と母・夕顔に会うために唐津から帰京したことも。
源氏は、玉鬘を六条院のほかの女君たちと同じ貴族女性として遇するため数人の*家司をおくことにした。
その一人に豊後介を任命する。
乳母と豊後介母子が筑紫時代から献身的に仕えてきた忠誠心に、玉鬘が心から感謝しているからだ。
豊後介の人柄を知ってまだ日の浅い右近も、豊後介の人となりを認めている。
豊後介は思わぬ幸運を喜んだ。
「20年近くも草深い田舎で不遇をかこっていた私にとって、きらびやかな源氏の君のお邸に出入りしていることさえ夢のようだった。
それがなんと、家司として姫君のお世話をするため部下たちに色々と指図できるとは」
年の暮れ。
源氏は玉鬘の部屋の正月飾りを準備させたあと、『六条院』と*『二条院』で暮らしている貴婦人や女房たちの装束などを用意させた。
*家司 けいし
親王・内親王家、摂関家三位以上の家に置かれ、家政を司った。
家政 一家の生活にかかわる諸事を処理し、治めること。
*『二条院』で暮らしている貴婦人たち
空蝉と末摘花は、『六条院』の前の源氏の住居『二条院』にいる。
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