しばらく、『源氏物語』をお休みします。
伎芸天
頭部は奈良時代、胴部は鎌倉時代
奈良市 秋篠寺
美術・工芸、歌舞・音曲などの芸能にすぐれ、
五穀豊穣・吉祥豊楽をつかさどり、
福徳・技能を授ける天女
いつのころからか私は、奈良の地をそぞろ歩くことを無上の楽しみにしている。
何がそうさせるのか、私自身よく分からない。
けだし『秋篠寺』の、匂うがごとき『伎芸天』への遥かな憧れか。
香り高い天平の清浄を今に伝える、『唐招提寺』への果てしない夢か。
『法隆寺夢殿』に佇立する、いくたの謎に包まれた、『救世観音』の神秘へのロマンティシズムか。
はたまた、『大和路』にひょっこり出くわす『野仏』の無心な表情の懐かしさか。
とにもかくにも、いにしえの都への憧憬の去らぬ日は、一日たりとてないのである。
『万葉集』にみるごとく、伸びやかにして素朴、自由にして大どかな奈良の、屈託のない光と空気は、
『王朝風』のきらびやかさ、しかつめらしい格調と規範、
『禅宗的』な、ある種の心構えを要する森厳さを漂わす京都のたたずまいとは違う。
いわんや、ヨーロッパ文明の源流『ギリシャ』、『ローマ』の、
人を寄せ付けぬほどに偉大で、冷徹なまでに理知的な古跡とは、まったく趣を異にするといってよい。
だいぶ以前のことになるが、ほぼ時期を同じくして、
『奈良』と『ローマ』で、真冬の夜道に方向を失い、途方に暮れたことがある。
ともに東京や大阪とはちがい、夜は暗いのである。
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