Quantcast
Channel: 吉備路残照△古代ロマン
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1644

玉鬘⑬涙の再会

$
0
0

二十二帖 玉鬘

 

光源氏.太政大臣  35歳4月~10月

玉鬘  21歳  京・九条

 

 

玉鬘一行と右近一行は、椿市の宿の同じ部屋

『屏風』を隔てて、各々身体を休めていた。

一夜を過ごすのは、長谷寺の本堂。

 

 

・夕顔の娘(玉鬘)

探すため御利益をえようと長谷寺に

参詣する途中『椿市の宿』に着いた右近は、

たまたま玉鬘一行と相部屋になり再会を果たす。

 

絵の右上に、『長谷寺』の長い階段が描かれている。

 

 

 

 

右近が屏風のすき間からのぞくと、確かに見たことのあるだ。

 

しかし、誰か、どうしても思い出せない。

 

ずいぶん若いときに会っているはずだが、遠い記憶と違って、目の前のは浅黒く太っている。

 

身なりも、粗末だ。

 

その男が、女の名前を呼んだ。

 

三条、お呼びです」


三条と呼ばれた女を見ると、これもまた見覚えがある。

 

亡くなった夕顔に長いあいだ仕えていて、隠れ家にもお供した下働きのである。


そう分かると、右近は懐かしさと嬉しさが込み上げてきた。

 

夢のような心地であった。

 

「探しあぐねている玉鬘さまも、もしや、あそこに--」

 

そう期待するのも当然であろう。

 

 

 

 

右近は、屏風のすき間からけんめいに玉鬘を探した。

 

しかし、中にも置いてある小ぶりの屏風の向こうにいるのか、玉鬘の姿を見ることができない。

 

三条に尋ねてみよう。

男のほうは、むかし、兵藤太(のちの豊後介)と呼ばれていた男にちがいない」


少しずつ解きほぐれてくると、右近玉鬘のことを今すぐに知りたいと気があせった。

 

すぐさま侍女に屏風の向こうにいる三条を呼ばせたが、三条は食事に夢中になっていて、なかなかやって来ない。

 

ひどく憎らしく思ったが、それは右近の勝手というものである。

 

やっと、やって来た。

 

 

 

 

事情を話すと、


「身に覚えのないことです。

筑紫国に20年ほど過ごした下衆のわたしを、都の方がご存知のはずがありません。

人違いでございましょう」
 

三条田舎じみた粗末な服を着て、ずいぶん太っている。

 

三条の体つきを見て、右近は他人事ではなく自分の年を思い知らされた。


わたしの顔をよく見てご覧、分かりませんか

 

右近が顔を近づけると、驚いた三条は手を叩いて、


「あらまあ、うれしいこと、右近様ではございませんか。

どちらから、お参りに来られたのですか。

夕顔さまも、ご一緒ですか」

 

三条はそれだけ言うと、思いがあふれて声を上げて泣き出した。
 

 

 

 

三条の気持ちが収まるのをまって、右近がたずねる。


乳母さまも、ご一緒ですか。

姫君(玉鬘)は、お元気ですか


ただ、右近夕顔のことを口にしようとしなかった。

 

三条


姫君はもう立派に成人されました。

乳母さまに、右近さまがいらっしゃることを知らせてきます」

 

 

 

 

 

 

7月の第3月曜日は海の日

今月は、「」にまつわる楽曲を集めます。

 

 

 

 

 

絶望名言

 

束縛があるからこそ、私は飛べるのだ。

悲しみがあるからこそ、私は高く舞い上がれるのだ。

逆境があるからこそ、私は走れるのだ。

涙があるからこそ、私は前に進めるのだ。

ガンジー

インドの弁護士、宗教家、政治指導者  1869~1948年

2007年6月の国連総会で

ガンディーの誕生日を【国際非暴力デー

という国際デーとすることを決議した。

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1644

Trending Articles