風俗博物館 京都市
薫(かおる)の五十日の祝 / いかのいわい
国宝『源氏物語絵巻』より再現 「柏木」から
平安朝の貴族社会で行われた通過儀礼の一つ。
生誕50日目の夜、餅をすりこぎでつぶして重湯にいれ、新生児に含ませた。
すり鉢とすりこぎ
すりこぎは、すり鉢で物をすりつぶすのに用いる棒。
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左から、琵琶・琴・和琴・箏
日本で、「こと」と呼ばれる楽器は5種類。
①琴(きん) ②箏(そう) ③和琴(わごん)
④一絃琴 (いちげんきん/須磨琴とも) ⑤二絃琴 (八雲琴)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
紫の上は、ひとり言のようにつぶやいた。
〇 思ふどち なびく方には あらずとも
われぞ煙に 先立ちなまし
愛しあっているお二人が同じ方向になびくのとはちがって、わたしはその二条の煙に先だって死んでしまうのかしら
源氏は心底おどろいた。
〇 誰れにより 世を海山に 行きめぐり
絶えぬ涙に 浮き沈む身ぞ
このつらい世の中、私はいったい誰のために海や山をさまよいながら絶えず涙を流して浮き沈みしてきたのでしょう
源氏は近くにあった「箏の琴」を手元に引き寄せ、ちょっと音を確かめてから紫の上に勧めた。
話題を変えようと思ったのだろう。
しかし、紫の上は「箏の琴」に手を触れようともしなかった。
つい先ほどの源氏の言葉が、耳に残っているからである。
「(明石の人が)、情感のままに奏でる、琴の音色の優美なこと」
紫の上はおっとりとしたやさしい佳人だが、一面、気丈なところもある。
源氏は、そんな頑なな紫の上を好ましく思っている。
「この五月五日が、五十日目になる」
源氏は、明石に娘が生まれてからの日数をひそかに数えていた。
「もし都で産まれていたら、どんなことでもしてあげられたのに残念なことだ。
よりによって、あのような片田舎で産まれたとは」
とにかく、源氏は使者を立てた。
山と積まれた豪華な荷物の中には、赤ん坊に必要な実用的な品々もたくさんあった。
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