内裏(だいり)
内裏には帝や后妃が住み、儀式や執務などを行った。
禁中・禁裏・御所などともいう。
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光源氏 紫の上 朱雀帝 明石の君 前左大臣
冷泉帝 弘徽殿大后 頭中将 四の君 夕霧
雅楽「青海波(せいがいは)」を舞う、ライバル同士の光源氏(左)と頭中将
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
最高位の摂政太政大臣にという話もあったが、源氏は、「私はまだその任ではありません」と辞退。
舅(故・葵の上の父)である前左大臣に譲った。
前左大臣は、 「ますます齢を重ねて、もう立派な政治はできません」といったん断るが、源氏たちの熱心な説得によってなんとか承諾してくれた。
当時としては、かなり高齢の63。
ほんの1、2年前まで宮廷を牛耳って、源氏や左大臣家の人々を圧迫していた故・右大臣はすでに亡く、弘徽殿太后は病気がちで気力も体力も衰えている。
そういう頃合いに、源氏が明石から帰京した。
ほどなく「帝」が故・右大臣の孫の朱雀帝から、源氏が後見人をつとめる冷泉帝に代わった。
ここに、政権交代が完成する。
源氏の親友でライバルの前左大臣の長男・頭中将は、権中納言に昇進した。
若いころは学問や和歌や舞いなどのライバル同士だった両者。
これからは、宮廷における立身出世を競うことになる。
かつて左大臣家と右大臣家との戦いだったのが、源氏と左大臣家の頭中将との争いに移ったわけだ。
ゴールは、藤原道長や後世の平清盛がそうしたように、「帝の外祖父」になること。
すなわち、入内した「娘」の産んだ「孫」を「帝」にして、天下の実権をにぎることだ。
ほどなく、頭中将は正妻の四の君が産んだ12歳になる娘を入内させた。
これによって、頭中将が一歩リード。
娘のいない源氏は、おおぜいの息子や娘に恵まれている頭中将が羨ましくてならない。
というのは、娘のいない源氏は、「帝の外祖父」になりたくてもなれないからである。
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