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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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明石26移り香

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     滋賀県大津市   石山寺の「紫式部像」

石山寺駅 アクセス ←クリック拡大
JR京都駅から石山駅まで新快速で13分。

$吉備路残照△古代ロマン-石山寺  石山寺東大門
東寺真言宗大本山 西国巡礼十三番札所 
東大門の『仁王像』は、運慶湛慶

紫式部 源氏苑

千年の恋 光源氏物語 源氏の間
紫式部が、『源氏物語』」を執筆したと伝えられる部屋。
伝承では、寛弘元(1004年)、紫式部が石山寺に参篭した際、八月十五夜の名月の夜、「須磨」と「明石」の帖の着想を得たとされる。

   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

帰京の二日前、源氏はいつもより早く、まだ夜が更けないうちにやって来た。

久しぶりにまだ明るさの残る中で見る明石の君は、気品が備わっているだけでなく表情が豊かで美しい。

近いうちに、しかるべき手筈をととのえて都に迎えると約束した。

〇 このたびは  立ち別るとも  藻塩焼く

      煙は同じ  方になびかむ

いったんお別れしますが、藻塩を焼く煙が同じ方向になびくように、都でともに暮らしましょう

〇 かきつめて  海人のたく藻の  思ひにも
    
      今はかひなき  恨みだにせじ

海人(あま)が藻をかき集めて焼く火のように思いが一杯ですが、いまは仕方がないので恨みは致しません



明石入道は一体いつ準備していたのか、源氏一行の旅立ちのためにあれやこれやと贅を尽くしていた。

全員の旅装束はもとより、都への土産もいろいろ考えて気の利いた物を数々そろえている。



源氏が着用する狩衣(かりぎぬ/公家の普段着)に、和歌が一首忍ばせてあった。

明石の君

〇 寄る波に  立ちかさねたる  旅衣 

      しほどけしとや  人の厭はむ

何度ともなく涙に濡れて縫い上げたこの旅装束を、源氏の君は気に入ってくださいましょうか

源氏

〇 かたみにぞ  換ふべかりける  逢ふことの
    
      日数隔てむ  なかの衣を

お互いに形見として衣服を交換しましょう。また逢える日まで、私たちは長く隔てられるでしょうから

源氏は、「せっかくだから」と、さっそく明石の君が縫ってくれた狩衣に着替えた。

そして脱いだ服を、明石の君に渡した。



明石の君は、源氏の衣服にしみ込んだ馥郁とした移り香をかぐたびに、源氏恋しさが募るのではないだろうか。



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