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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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明石⑤夢枕

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桐壺帝と桐壺更衣
桐壺更衣桐壺帝/光源氏の両親

加冠 加冠(かかん)の儀/元服
桐壺帝の御前で、後見人の左大臣が14歳の光源氏に冠をかぶせている
この日、光源氏は3歳年上の左大臣の娘・葵の上と結婚

   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

だれもかれも生きた心地はせず、またどう動けばいいのか分からない。

ある者は慌てふためき、ある者は放心している。

しかし、何がなんでも源氏だけは守らなければならない。

従者たちは気持ちを奮い立たせ、源氏を屋敷の後方にある台所として使っている建物に移した。

離れならば、延焼を免かれるだろう。

考えることは皆おなじで、そのこじんまりとした建物に身分の上下に関係なく大勢の人々が逃げ込んできた。

恐怖に怯えている彼らの泣き叫ぶ声は、凄まじい雷鳴をかき消すほどである。



日が暮れて、空は墨を擦ったように漆黒の闇になった。

しばらくすると、ようやく風の勢いが弱まってきた。

何日ぶりであろうか。

雨脚がおとろえ、空には星が瞬きはじめた。

月が出ると、屋敷のすぐ近くまで潮が満ちていた跡がはっきり見える。

源氏が柴の戸を押し開け、いつもの場所で寄せては返す波を眺めていると義清の声がした。



「暴風が今しばらく止まなかったら、高潮にのみ込まれるところでございました。
神のご加護は、まことに有り難いことでございます」

源氏

〇 海にます  神の助けに  かからずは

    潮の八百会に  さすらへなまし

・潮の八百会(しおのやおあい)  四方から潮流が集まる所

海に鎮座しておられる神の御加護がなかったならば、潮の渦巻くはるか沖合に流されていたことであろう



何日も続いた暴風や稲光や雷鳴のため、源氏はさすがに疲れはて、柱に寄り掛かってまどろんでいると、
亡き父・桐壺院が生前そのままの姿で立っている。



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名残はつきませんが、次回から舞台は明石にうつります。






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