『源氏物語』は、狭い宮廷社会を中心として繰り広げられる
←クリック拡大
『源氏物語』ほどの大長編になると、登場人物の名前と立場(地位など)とそれぞれの関係性を覚えるだけでも大変ですが、人間関係や事件などが複雑に絡み合うともうお手上げ、ではなく、頭の体操になります。
羽柴秀吉の「中国大返し」を連想する言葉に、「須磨帰り」という言い回しがあります。
腕まくりして意気込んで『源氏物語』に挑んだ人の大部分が、「須磨」で息切れするという意味です。全54帖中のまだ11帖目なのに---。
そんな長編を、しかも世界的に評価の高い『源氏物語』を、千年も昔に創作した紫式部の才能とパワーは計り知れません。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
通常であれば、直に対面することなどありえない源氏の立派なたたずまいを前にして感涙した。
花散里(はなちるさと)からの手紙には、姉の麗景殿女御(れいけいでんのにょうご)の手紙が添えられていた。
ふたりは、源氏にとってかけがえのない姉妹である。
というのは、かつて母の桐壺更衣(きりつぼのこうい)が弘徽殿女御(こきでんのにょうご)らに酷いいじめを受けていた時、いじめに加担しなかった数少ない女御と聞いているからだ。
つらい立場にいた母親の心の拠り所となってくれた人は、自分を助けてくれた人以上にありがたく、一生、恩を忘れないのではないだろうか。
右大臣が宮廷の実権を握っている今、姉妹は実家に戻ってはいるが肩身の狭い思いをしている。
花散里からの返歌、
〇 荒れまさる 軒のしのぶを 眺めつつ
しげくも露の かかる袖かな
お別れしてからますます荒れてゆく軒端の忍草を眺めながら光君のことを偲んでおりますと、涙が露のように袖にかかることでございます
手紙には、梅雨の長雨に築地が所々崩れかかっているとある。
源氏はすぐに二条院に連絡をとり、都から近い荘園を管理している者たちに命じて築地を修理させるよう指示した。
朧月夜は、源氏との密会が発覚してがら世間体を恥じて部屋に閉じこもっていたが、右大臣お気に入りの娘なので、朱雀帝と弘徽殿大后にむりやり頼み込んで内裏に戻ることを許された。
ただし、帝の妻である女御あるいは更衣としてではない。
後宮を管轄する内侍司(ないしのつかさ)の尚侍(ないしのかみ/しょうじ)としてである。
新装版 王朝女流文学の世界 秋山虔 (UPコレクション)
/東京大学出版会
¥3,132
Amazon.co.jp
黒田博樹投手がどうのこうのというのでは全くないが、彼らが得る億単位の高額報酬の一方で、
日夜、お年寄りを相手に献身的に過酷な仕事を続けながら、月収が15~30万円ほどの介護職などの方がいる。
しかも、公明党が「選挙対策」のために軽減税率の範囲を拡大したことで格差がますます広がる。これもまた、「国民はどうせ、ものが見えない」と選挙民をバカにしている証拠。
来年の参院選での演説で、「わが公明党は、国民の皆さまの生活が少しでも楽になるよう軽減税率の範囲
を拡大しました」と手柄のように叫ぶでしょう