衾(ふすま) 掛け布団 風俗博物館
結び文
細く巻き畳んだ書状の上端or中央を折り結んで、結び目に一筋墨を引いたもの
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
源氏は東の対の自分の部屋に戻るとき、硯箱をそっと御帳台の内に差し入れた。
だいぶ経ってから若紫が上体を起こすと、枕元に硯箱がおいてある。
開けると、中に結び文がはいっていた。
さりげなく書き流した歌が一首。
○ あやなくも 隔てけるかな 夜をかさね
さすがに馴れし 夜の衣を
どうして私たちはこれまで何事もなく過ごしてきたのでしょう。幾夜ともなく共寝して馴れ親しんできた仲なのに
「源氏の君が、こんなことをなさるとは」
若紫は夢にも思わなかった。
「どうしてこんなに嫌らしい方を疑いもせず、父とも頼み兄とも慕ってきたのでしょう」
若紫は情けなく、悔しくてならない。
昼ごろ、源氏がやってきて御帳台のなかを覗きこんだ。
「ご気分が悪いそうですが、どうなさったんですか。今日は碁も打たなくてつまらないですね」
若紫は黙ったまま、不機嫌そうに衾(ふすま)を被った。
女房たちは離れたところに控えているので、源氏は若紫の側に寄った。
「どうして、こんなに気づまりな態度をとられるの。思いのほか冷たい方だったのですね。女房たちが変に思うでしょう」
衾を引きのけると、若紫は汗びっしょりで額の髪もひどく濡れている。
光源氏の一生 (講談社現代新書)/講談社
¥821
Amazon.co.jp
はじめてのFacebook Twitter LINE (スマホで超簡単! 大人のSNS入門ガイド)/マキノ出版
¥1,008
Amazon.co.jp
銃撃事件はさておいて、「表現の自由」の受け止め方は日本とヨーロッパ諸国とではかなり違う。相手を傷つけたり侮辱したりする「表現の自由」はあってはならないのが和風
また、風刺は弱者(例えば少数派)から強者(例えば権力者)に向かうもので、その逆であってはならない