

伝土佐光起筆『若紫』源氏物語画帖
スズメが飛んでゆくほうを眺める若紫(紫の上)、尼君、侍女らがいる僧都の家を外から垣間見る光源氏
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「葵の上さま亡きいま、一体どなたが次の源氏の君のご正妻になられるのでしょう」
少納言は、しきりに気がもめた。
「源氏の君は、たくさんの身分の高い女君のもとにお忍びで通っていらっしゃる。
その方々の中から、ご正妻が選ばれるのかしら。
その選ばれたご正妻と、姫君との関係はどうなるのかしら。
できれば、姫君が源氏の君のご正妻になってほしいもの」
源氏は東の対の自分の部屋にもどって、中将の君という女房に足などを揉ませているうちに寝入ってしまう。
翌朝、起きるとすぐに左大臣邸の夕霧に手紙をかいた。
*当時、貴族の子息は母方の実家で生まれ育てられた
その日の夕刻にさっそく大宮から返事がとどいたが、一人娘をなくして悲しみに沈んでいる左大臣邸が案じられる。
二条院に戻ってからというもの、源氏は物思いに耽ってばかりで夜の忍び歩きも億劫でおとなしくしていた。
ただ若紫がすべてにわたって理想的に成長していることが殊の外うれしかった。
北山の寺にいた藤壺そっくりの若紫を、自分の理想通りに育てようと兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)から奪うように引き取ってきたときの夢が実現している。
14歳だが、その年齢で源氏は葵の上と結婚した。
夫婦になっても、おかしくない年頃だ。
結婚を匂わすようなことを時々言葉にだしてみるが、若紫はまったく気がつかない様子である。
しかたなく、源氏は西の対で若紫と囲碁を打ったり偏つき遊びをしたりして日々を暮らしていた。
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金正恩さんは安倍晋三さんと同じやんちゃな三代目。どうやらミサイルが楽しい「おもちゃ」に見えるらしい
