衵(あこめ)姿 京都・風俗博物館 貴族階級の女児が上着として着用する
大殿油(おほとなぶら)
宮中や貴族の邸宅でともした油のともし火
汗衫(かざみ) 風俗博物館 貴族階級の女児用薄手の上着
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ややかすれた薄い墨で書かれているが、朝顔の宮の筆跡と思うからか奥ゆかしく妙に心惹かれる。
日がすっかり暮れた。
源氏は大殿油を近くに燈させて、気心の知れた女房たちをよんで四方山話をさせた。
中納言の君は何年もの間ひそかに情けをかけてきた女房だが、喪中には葵の上に気兼ねする必要はないにかかわらず一度も色めいたことをしなかった。
そのことを、中納言の君は源氏のやさしさと思っていた。
亡き葵の上がとりわけ可愛がっていた幼い女童(めのわらわ)がいる。
名前は、あてき。
両親がいないので、部屋の隅のほうで心細そうにしている。
「あてき、これからは私を頼りにするのだよ」
源氏がやさしく声をかけると、ひどく泣きだした。
小さい衵を濃く染めて、黒い汗衫、萱草(かんぞう)色の袴などを着ているのがとても可愛らしい。
「亡くなった葵の上を大事に思ってくれている人は、どうか夕霧を見捨てずに仕えてほしい。
葵の上がいたころの名残りがうすれ、そなたたちまで去っていなくなれば、私がここへくる寄る辺がなくなってしまう」
そこへ、左大臣がやってきて、女房たちの身分に応じて、ちょっとした趣味的な道具や葵の上の形見となるような物を一同に配った。
源氏はいつまでも左大臣邸に引き籠ってばかりはいられないので、そろそろ二条院に戻ろうと思っている。
まず、桐壺院にあいさつに行くことにした。
源氏にすっかり馴染んでいる葵の上付きだった女房たちは心細くなって涙をあふれさせている。
左大臣も大宮も寂しげに肩を落としている。
源氏は叔母である大宮に別れの挨拶の手紙を届けさせた。
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関係なく、安倍晋三さん個人の資質です
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葵27左大臣邸を出る
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