光源氏 朧月夜 桐壷帝 弘徽殿女御(太后) 右大臣
源氏と朧月夜の出会いの場面。伝・土佐光吉 桃山時代
朧月夜は、源氏と取り交わす「扇」を持っている。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
源氏が言い終わらないうちに、女房たちが起き出して騒がしくなってきた。
仕方なく、ふたりが逢った証拠に「扇」を交換し合って源氏は弘徽殿をでる。
桐壷に戻ると、大勢仕えている女房たちのなかには目を覚ましている者もいた。
「よくもまあ、源氏の君はお忍び歩きにご熱心なこと」
お互いを突つき合いながら、眠ったふりをしている。
源氏は部屋に入って横になったが、眠れないままに思案をめぐらした。
「美しい人だった。弘徽殿女御の妹君なのだろう。恋に初心(うぶ)なところから察すると、五の君か六の君か。
帥宮(そちのみや)の北の方と頭中将がおろそかにしている四の君は、すこぶるつきの美人と聞いている。
彼女らだったら、もっと味わいがあったかもしれない。
右大臣は六の君を東宮に入内させたいそうだが、もし六の君なら気の毒なことをした。
とにかく、何番目の姫君なのか見当もつかない。
姫君もあれで終わりにしようとは思っていない様子だったのに、どうして便りをする方法を教えあわなかったのだろう」
あれこれと思案をめぐらすのも、心惹かれているからだ。
このようなことにつけても、「藤壺あたりの風紀はしっかりしていたなあ」と、「弘徽殿のだらしなさ」とつい比べてしまう。
その日は後宴の催しがあって、源氏は忙しく一日を過ごしていたが、絶えず心にひっかかっていることがあった。
「あの姫君は、いつ退出するのだろうか」
何事につけても手抜かりのない良清と惟光(これみつ)に命じて、見張りをさせてはいる。
源氏が桐壷帝の御前から退ってくると、さっそく惟光たちが報告にきた。
アーサー・ウェイリー版 源氏物語〈1〉 (平凡社ライブラリー)/平凡社
¥1,728
Amazon.co.jp
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か
(講談社現代新書)/講談社
¥799
Amazon.co.jp
有原航平投手には、
斎藤佑樹先輩ともども活躍してほしい