平安京内裏(だいり)
*北半分はハーレム*右上に「桐壷」がある
*紫宸殿(ししんでん*内裏の正殿)
ふたりとも人並みはずれた容姿のもちぬしだが、源氏がけだるそうに岩に寄り掛かっている姿は、ぞっとするほど麗しい。
紫式部は、「源氏がいかに美貌で、魅力的な男であるか」ということを様々な場面で具体的に描写する。
一方、これは『平家物語』と共通することだが、女の美点を描く場合はあっさりとして抽象的だ。
「美しい」「かわいい」「教養が深い」「高貴だ」など、通り一遍の言葉で片付ける。
気持ちが入っていない。
『平家物語』の作者(吉田兼好の『徒然草』によると信濃前司行長)は男だから不思議な気がするが、行長は男色家だったともいわれている。
ちなみに『平家物語』きっての美男子、平維盛(これもり*清盛の嫡孫)の男ぶりは、「光源氏の再来」とされた。
源氏一行がいよいよ下山するとき、下級の法師や童にいたるまで名残り惜しさに涙を落としていた。
尼君をふくめて女たちは源氏ほどの男をそれまで見たことがないので、「この世の人とは思えない」などと噂しあっている。
僧都は、目を拭っている。
「どんな因縁で、源氏の君のような方が、こんな末法の世にお生まれになったのだろう。悲しいことだ」
姫君も、子供心にあこがれている。
「父宮よりも、ずっとキレイだわ」
女房が、からかう。
「それでは、源氏の君のお子様になられませ」
すると、うれしそうに小さくこっくりと頷いた。
お人形遊びをするときもお絵描きをする時も、「これは源氏の君よ」といって、一番きれいな衣装を着せて大事にしている。
源氏は帰京するとまず宮中に参内して、鞍馬での出来事を桐壷帝に報告した。
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若紫⑭源氏、宮中へ
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