*優曇華(うどんげ…クワ科の常緑高木)
*鷲宮催馬楽神楽…国指定重要無形民族文化財
鷲宮(わしのみや)神社、埼玉県久喜市鷲宮/一説では関東最古の大社
源氏の姿や声が、まぶしいくらいに美しい。
僧都の返歌。
○優曇華の…花待ち得たる…心地して
…………深山桜に…目こそ移らね
源氏の君を拝見するのは 三千年に一度咲くという優曇華の花が咲くのを待ちつづけやっと目にしたようなうれしさです。深山桜などには、目移りしません
源氏は、姫君への手紙を僧都に仕える童にことづけた。
○夕まぐれ…ほのかに花の…色を見て
…………今朝は霞の…立ちぞわづらふ
昨日の夕暮れどき、花のようにはかなげな可愛い人を見たので、今朝は霞のように立ち去りがたい思いがしております
返歌は尼君から。
○まことにや…花のあたりは…立ち憂きと
…………霞むる空の…気色をも見む
花の辺りを立ち去り難いとは本当のことでしょうか。霞んだ空のような本心を見たいものです
源氏が牛車に乗ろうとするところへ、左大臣家から迎えの者らが大勢やってきた。
「行く先も告げずに出かけられたので、心配しました」
仲の良い頭中将や左中弁もいる。
頭中将は、
「こんな旅のお供なら喜んでさせて頂きたい。誘って下さらないとはあんまりですぞ」
そう恨みごとを述べると、
「みごとに咲き誇っている山桜を楽しまずに都へ引き返すのは、もったいない。花見酒をしましょう」
岩蔭の苔の上に並んで座って、盃をまわした。
流れ落ちてくる水のしぶきなど、風情のある滝のほとり。
頭中将は懐にもっていた横笛を取り出して、吹き澄ました。
弁の君は扇を軽く打ち鳴らして、「豊浦の寺の、西なるや」と催馬楽(さいばら)を謡う。
ふたりとも人並みはずれた容姿のもちぬしだが、源氏がけだるそうに岩に寄り掛かっている姿は、ぞっとするほど麗しい。
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若紫⑬花見酒
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