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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 建礼門院⑯ここは龍宮城です

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$吉備路残照△古代ロマン-安徳天皇入水像の碑  安徳天皇入水像の碑
……山口県下関市みもすそ川町

「一門の男たちが、助命されることは万に一つもありません。また縁の薄い者が、私たちの後世を弔ってくれることはないでしょう。昔から、合戦で女は殺しません」

「あなたは生きて、私たちの菩提を弔って下さい」

建礼門院は、母・二位の尼の言葉を夢のように聞いていた。

源氏勢との決戦は、ますます不利になってゆく。

「もはや、これまで」

二位の尼は、安徳天皇を抱き上げて舟ばたへ歩み出た。

「尼御前、私をどこへ連れて行くの」

「前世の善行によって天皇としてお生まれになりましたが、悪縁のために運が尽きました。まず東に向かって伊勢神宮を拝み、それから西方浄土の来迎にあずかるために念仏を唱えて下さい。この国は悩みの多いところです」

「極楽浄土という、素晴らしい都へお連れ致します」

安徳は小さな左右の手を合わせ、東を向いて伊勢神宮に別れを告げ、それから西を向いて念仏を唱えた。

息子を抱いて入水した時の様子は忘れようとしても忘れられず、悲しみをこらえようとしてもこらえきれません」

残された者らの泣き叫ぶ声は、地獄の炎の底で苦しむ罪人たちの阿鼻叫喚(あびきょうかん:地獄の様々な責め苦にあって喚き叫ぶ様子)も、これほどではあるまいと思えるものだった。


「源氏の荒武者に捕らえられて都へ上る途中、明石の浦で、内裏よりもはるかに立派なところに安徳天皇をはじめ、平家一門の公卿や殿上人が礼儀を正して控えている夢を見ました」

「『ここはどこですか』と尋ねると、二位の尼らしき方が、『龍宮城です』と答えました」



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   …… ……     (時子二位の尼)


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