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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 建礼門院⑬親子の情愛

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$吉備路残照△古代ロマン-安徳天皇と建礼門院 安徳天皇と建礼門院


建礼門院が、涙をこらえて語りはじめた。

「このように落ちぶれたことは確かに辛うございますが、後生菩提のためには喜ぶべきことではないだろうかと思うようになりました」

・後生菩提 (ごしょうぼだい)…来世、極楽に生まれ変わること

「釈尊のお弟子に名をつらねて、阿弥陀如来の本願に乗じて女人の身に起こる五障三従の苦しみからのがれ、昼と夜の3時に六根を清めてひたすら浄土への往生を願い、また平家一門の菩提を祈って、日々聖衆の来迎を待っております」

・阿弥陀如来…西方浄土の教主。衆生を救おうと48の誓いを立てた仏

・衆生 (しゅじょう)…生きとし生けるもの、特に人間

・本願 (ほんがん)…人々を救済しようとの根本の願い

・五障 (ごしょう)…女性には5つの障りがあって仏にはなれない

・三従 (さんしょう)…幼時は親に、結婚すれば夫に、老いては子に従う

・六根 (ろっこん)…眼・耳・鼻・舌・身・意

・往生 (おうじょう)…死後、他の世界に往(い)って生(しよう)を受ける

・菩提 (ぼだい)…悟りの境地に達すること

・聖衆 (しょうじゅ)…諸菩薩

・来迎 (らいごう)…浄土から仏や菩薩が人々を迎えに来る


「ただただ、忘れがたいのは亡き安徳天皇の面影です。親子の情愛ほど、悲しく切ないものはありません。安徳天皇の菩提のため、朝夕の勤行を一日たりとも欠かしておりません」

「これも、仏への道だと信じております」

・勤行(ごんぎょう)…仏前で、時刻を定めて読経などを行うこと


建礼門院の言葉に聴きいっていた後白河が、口を開いた。




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