![$吉備路残照△古代ロマン-阿波内侍](http://stat.ameba.jp/user_images/20130426/12/asaborake/d6/85/j/t01600174_0160017412514247429.jpg)
信西の娘 大原女の祖
後白河法皇は、池に散り敷いている数知れない桜の花びらを眺めて、こう詠んだ。
○ 池水に 汀(みぎわ:水際)の桜 散り敷きて
波の花こそ 盛りなりけり
古びた岩の裂け目から落ちてくる水の音も、床しく趣がある。
周囲を見わたすと、ツタとクズの絡まる垣根や緑なす山の風情は、絵に描こうとしても絵筆が及びそうもない。
建礼門院の草庵に目を移した。
軒にはツタや朝顔が這っている。
草庵を杉で葺いてはいるが隙間が多く、時雨や霜や露が月明かりと争って差し込むのを防ぎようがないだろう。
後ろは山、前は野辺。
竹でつくった目の粗い垣根は風にもてあそばれ、わずかに聞こえてくるものは、峰の木々を伝う猿の鳴き声と木こりが振るう斧の響きだけ。
人が訪れているような気配はない。
後白河が、「どなたかおられるか。どなたかおられるか」と呼んだが、返事はない。
暫くして、年老いた尼 (阿波内侍) が現れた。
「女院 (建礼門院) は、どこへ行かれたのか」
「山へ花を摘みに入られました」
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