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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 重衡被斬③会うべきではなかった

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$吉備路残照△古代ロマン-平重衡の墓  従三位平重衡卿墓 
京都伏見区醍醐外山街道町

に引き止められると、重衡は、

「私もゆっくりしたい。だが、私は天寿を全うできる身ではないのだ」

後ろ髪を断ち切って出発した。

大納言典侍が門の外に転び出て、声を限りに泣き叫ぶ。

殺されるために出かける夫を見送る妻の心情はいかばかりか。

重衡も涙で目が曇って前が見えない。

「やはり、会うべきではなかった」

後悔ばかりが募った。


興福寺の大衆は重衡の身柄を受けとると、処分について評議した。

重衡殿は重罪人だ」、「仏敵である」、「東大寺と興福寺の周囲を引き回した上で、首まで地中に埋めるか、首をのこぎりで引くべきだ」

老僧たちが、たしなめた。

「そのような手荒なことは僧のすべきことではない。武士に任せて、木津の辺りで斬らせよう」

武士たちは重衡を預かって、木津川へ連行した。

大衆や武士らを含めて、高みの見物は何千、何万か数も知れない。

そこへ重衡に仕えていた知時(ともとき)という者が、主の最期を見届けようと馬に鞭打って駆けつけた。

急いで馬から飛び下りる。

群衆を掻き分けながら、重衡のそば近くに寄った。

「殿の最期を、知時が看取りに参りました」


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