静 上村松園画
西海 (九州) を目指して船を漕ぎ出してはみたものの、暴風のため進まず、大物浦に押し戻されてしまった。
待ち構えていた頼朝の軍勢と戦闘になるが、家来たちの奮闘によりなんとか撃退する。
しかし、頼朝の追跡の手がいっそう厳しくなることが予想されるため、義経は家来の行く末を案じて縁故のある土地へ行くように計らい、義経自身は、静御前や弁慶、佐藤忠信らわずかな手勢とともに吉野山を目指した。
頃は、「都に春は来れども、吉野はいまだ冬ごもる」 季節で、吉野の谷川には氷さえ見えた。
静を伴って吉野に来たが、静は慣れない山越えで疲れ果てている。
そのうえ、義経の子を身ごもっていた。
静を京に帰そうと、数名の従者をつけて山を下らせた。
義経が小さな鏡を静に渡して、「これを朝晩わたしと思って眺めるように」 と言い聞かせると、静は涙に暮れならが、
○見るとても 嬉しくもなし ます鏡
恋しき人の 影を止めねば
鏡を見ても嬉しくありません。愛する人の姿を映してはくれないから
と詠んで、吉野山を下って行った。
途中で従者に持ち物を奪われ山中をさまよっていた時に、山僧に捕らえられ、京の北条時政に引き渡された。
そして、文治2(1186)年3月、母の磯禅師とともに鎌倉に送られる。
同年4月8日、静は頼朝に鶴岡八幡宮社前で白拍子の舞を舞うよう命じられた。
氷壁 (新潮文庫)/新潮社
¥882
Amazon.co.jp
敦煌 (新潮文庫)/新潮社
¥546
Amazon.co.jp
わが母の記 (講談社文庫)/講談社
¥500
Amazon.co.jp
↧
平家物語の群像 弁慶⑥恋しき人の 影を止めねば
↧