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『平家物語』 に記されている、義経と景時が激しく対立した 「逆櫓論争」 と 「先陣争い」 の史実性については疑問符がついている。
摂津の渡辺に集結した源氏の兵船が四国の屋島に向かう場合、これはかなりの距離だから、夜陰に紛れてまっすぐに進めばいいわけで、わざわざ時間と手間をとって、反対方向に船を進めるための逆櫓をつける必要はないというのだ。
もう一つ。
先の説と関連するが、「逆櫓論争」 と 「先陣争い」 は、ともに壇ノ浦の戦いにおける出来事だったとする考え方がある。
逆櫓は、屋島の戦いのときには必要なかったが (結果的には、義経の陸地での奇襲成功によりほとんど海戦はなかった)、壇ノ浦では重宝するだろうという説だ。
なぜなら、壇ノ浦の戦いは、瀬戸内海でも極端に狭くなっている海上で源平両軍が最後の決戦をしたのだが、
この海戦には、摂津の渡辺水軍や伊予の河野水軍、紀伊の熊野水軍などが源氏側について参戦している。
平家方には、肥前松浦党の100余艘と筑前山鹿秀遠の300余艘がついた。
こうして狭い海域に、源氏軍840艘と平氏軍500艘、計1340艘がひしめいているのだ。前後に船を操れたら戦いやすいだろうし、戦況が不利になったとき逃げ足が速いだろう。
では、なぜ 「壇ノ浦」 での逆櫓論争を、「屋島」 でのことにしたのか。これには特段の理由はなさそうだ。
単に、文章構成上の工夫ではないだろうか。
聴衆や読者の興味を引く義経と景時の対立話を、ふたつとも 「壇ノ浦」 に詰めこむより、ひとつを 「屋島」 に振り分けたほうが、物語作りとして気が利いている。
なにより、「屋島」 は、義経の奇襲によって簡単に片が付いたので、エピソードに乏しい。一方、「壇ノ浦」 は平家滅亡の時とあって、逸話に事欠かない。
物語になりにくい 「屋島」 を、逆櫓論争で補強した。
そんなところではないだろうか。
「判官殿 (義経) は功に誇って傲慢、武士たちは薄氷を踏む思いであります。そば近く仕える私がお諌 (いさ) めしても、怒りを受けるばかり。刑罰すら受けかねません。合戦が終わった今、すぐにも東国へ帰りとう存じます」(要旨)
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平家物語の群像 景時⑩逆櫓論争と先陣争いは史実か
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