源義経 中尊寺所蔵 (戦国or江戸時代作)
先陣争いなど中堅クラスが功名を競ってのことかと思いきや、トップと大幹部が斬り合いに発展するほどの大事だったとは。
お二人さんは後方に控えて、戦場全体の成り行きを見渡しながら、注進してくる部下に的確な指示を出しなさいよ。
自分が、切り込み隊長になってどうするんだろう。
先の義経の発言から分かるように、
義経は、自分は大将軍ではなく、景時ら頼朝の家人と同じ立場だと思っている。大将軍は、鎌倉殿だけだと。
だが 「名称」 はともかく、戦場ごとに全体の統括者がいなければ困るだろう。頼朝がいなければ範頼、範頼が他で戦っていれば義経が 「大将軍」 だ。
なぜ、義経は大将軍という意識をもてなかったのだろうか。
平家の公達には、知盛や重衡ら弟たちにも、各戦場において 「大将軍意識」 があったと思う。
かつて、義経は、兄頼朝が打倒平家の旗を揚げたことを知って、平泉から鎌倉へ馳せ参じるが、そのとき、頼朝から弟としてではなく家人 (家来) として扱われている。
率いてきた部下の少なさと、母常盤の出自によるという。
そのことがトラウマになっているとすれば、切ない話だ。
景時の周りには息子たちや家人が14~5名。
彼らを伊勢義盛、佐藤忠信、武蔵坊弁慶ら百戦錬磨の義経の部下たちが取り囲んだ。
あわや、という時に、義経には三浦介義澄がすがりつき、景時には土肥次郎実平がすがりついて両者を分けた。
「これほどの大事を前に同士討ちなどしていては、平家を勢いづかせましょう。それに、頼朝殿のお耳にでも入ったら無事では済みますまい」
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