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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 文覚⑬ほら、これが院宣だ

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$吉備路残照△古代ロマン-源頼朝切手  前右兵衛佐 (さきのうひょうえのすけ) 頼朝  (通称:すけどの 、 鎌倉殿)

文覚は、院宣を首に掛けると、頼朝の待つ伊豆にむかって駆け出した。

一方、慎重居士の頼朝は、「文覚が無茶なことを後白河法皇に申し出なければいいが。困ったことにならなければいいが」 などと案じていた。

伊豆をでて8日目に、文覚が戻ってきた。

「ほら、これが院宣だ」

頼朝は、院宣という言葉のかたじけなさに、新しい烏帽子 (えぼし) と浄衣を着て、手水 (ちょうず) でうがいをしてから、院宣を3度拝して開いた。

         院  宣

「ここ数年、平氏一門は皇室をないがしろにして、勝手に政道を行っている。仏法を破滅させ、朝廷の権威を失墜させようとしている。
わが国は神の国である。皇祖の霊廟、伊勢神宮・石清水八幡宮が並んで、神徳はあらたかである。
それゆえ、朝廷が開かれてのち、数千余年、朝廷を傾け、国家を危ぶめようとする者が、敗北しなかったことはない。



そこで、神の助力にすがり、あるいは勅命の趣旨を守って、すみやかに平氏の一味を滅ぼし、朝廷の怨敵を退けよ。
先祖代々の兵略に従い、先祖代々の奉公の忠勤にいっそう励んで、身を立て家を興せ。

  院宣はこのとおりである。よって通達も件のごとし。
  治承四年七月十四日 前右兵衛督・藤原光能が奉る。

・・ ・・ ・ ・ 前右兵衛佐頼朝殿

頼朝は、石橋山の合戦のときも、この院宣を錦の袋に入れて首に掛けていたという。


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