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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 文覚⑤文覚夢の心地して息出ぬ

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$吉備路残照△古代ロマン-文覚の滝  文覚の滝  和歌山県那智勝浦町

那智の滝は、数千丈(1丈は約3m)も上からみなぎり落ちてくる長大な滝である。

文覚といえど、どうしてこらえることができよう。

浮き上がった途端、下流に押し流された。

刀の刃のように鋭くとがった岩肌の間を、浮いたり沈んだりしながら5、6町(約550~650m)ほども流されていると、美しい童子がやってきて、文覚の手を取って引き上げてくれた。

それを見ていた人は不思議な思いに駆られるが、火を起こして文覚の体を温めていると、ほどなく息を吹き返した。

息を吹き返すと、文覚は大きな眼を怒らせて、大音声を上げる。

「おれは21日間この滝に打たれて、慈救呪  (じくじゅ) を30万遍唱えるという大願がある。今日はまだ5日目だ 。誰がこんなところに連れてきた」

だれも身の毛がよだって、何も言えない。

文覚は、ふたたび滝壺に戻って、立ったまま滝に打たれた。

2日後、8人の童子がやって来た。

文覚の左右の手を取って引き上げようとしたが、散々揉み合いになった挙句、文覚は滝から出なかった。

3日目、ついに文覚は息絶える。





すると、死者で滝壺を穢さないためか、髪の毛をみずらに結った童子が2人、滝の上から下りてきて、いかにも暖かそうな香ばしい手で、文覚の頭の上から手足の爪先、手のひらに至るまで撫でると、文覚は夢心地がして息を吹き返した。

(原文) 滝壺を穢さじとや鬢結うたる天童二人滝の上より下り下らせ給ひて世に暖かに香ばしき御手を以て文覚が頂上より始めて手足の爪先掌に至るまで撫で下させ給へば文覚夢の心地して息出ぬ

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