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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 源頼政⑩山門は心変はりしつ南都は

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$吉備路残照△古代ロマン-六波羅・法住寺殿復元図 六波羅・法住寺殿概念図

三井寺 (園城寺) では、法螺貝 (ほらがい) を吹いて大衆 (だいしゅ:天台宗で無役の修行僧) が評議していた。

延暦寺は心変わりした。興福寺はまだ来ない。今すぐ六波羅に夜討ちをかけよう。老若二手に分かれて、老僧は如意が峰から背面を突け。足軽を4、500人先に立てて白河の民家に火を放てば、平家の連中が駆けつけてくる。岩坂や桜本で防戦している間に、
正面は、松坂から、仲綱殿を大将軍として、荒法師たちが六波羅に突入し、風上に火をかけて焼き払えば、清盛入道は炙り出される。そこを討ち取ろう」

平家の祈祷をしていた一如房の阿闍梨 (あじゃり:師匠) 真海が、評議の庭に進みでた。

「平家の味方をしていると思うかも知れないが、夜討ちなどして宗徒としての面目をつぶし、われらが寺の名を惜しまずにいられようか。
かつては源平が朝廷を守ってきたが、近ごろは源氏の運が傾いて、平家が世を支配して20余年、天下になびかぬ草木もない。六波羅をたやすく攻め落とせるとは思えない。
よくよく計略を巡らして、後日、攻め込むのが得策だ。」と時間稼ぎのために長々と述べた。

乗円房の阿闍梨・慶秀が、評議の庭に進み出る。

天武天皇がまだ皇太子のとき、大友皇子の襲撃を受けて吉野の奥に逃げたが、従う者わずか17騎。それでも、美濃と尾張の軍勢をもって大友皇子を滅ぼした。
逃げ場を失った鳥が懐に飛び込んでくると人はこれを憐れむ、といにしえの書にある。今夜六波羅に押し寄せて、討ち死にしようではないか」



円満院大輔の源覚が進み出て、「議論はもうよい。夜が更ける。急げ」

頼政が搦め手へ向かう老兵たちの大将軍、大手の大将軍には、仲綱が就いた。その勢1500人余、三井寺を出発した。

以仁王が来てから、幾つかの道に堀をつくり、楯を並べ、逆茂木 (さかもぎ) で防御を固めていたので、出陣にあたって、堀に橋を渡し、逆茂木を取り除いているうちに、時間が進んでニワトリが鳴いた。

仲綱は、不安に駆られて命じた。
「ニワトリが鳴いた。六波羅へ着くのは昼だろう。夜討ちでこそ勝機があるが、明るくなれば勝ち目はない。戻ろう」

大手は松坂から戻り、搦め手は如意が嶺から引き返した。

大衆は、「真海の長口舌のため、夜が明けてしまった。やつの宿坊を叩き壊せ。」一如房に押し寄せて、破壊した。

真海は命からがら六波羅に着いて三井寺挙兵を伝えたが、すでに数万騎が馳せ集まっていて少しも騒ぐ気配がない。


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