源氏物語名場面㉗
明石 参
蔦の細道/恋の通い路
光源氏が
明石の君の住む【岡辺の館】へ通った細道
明石市大観町
【岡辺の館】跡
明石入道の妻と娘が住んでいる
先般
雨まじりの暴風が吹き荒れたとき以来
入道の妻と娘/後の明石の君は高潮を恐れて
【浜辺の館】から【岡辺の館】に移り住んでいた。
神戸市西区
■
紫の上の返歌
○うらなくも 思ひけるかな 契りしを
まつより波は 越えじものぞと
愚直に約束を信じておりました。
末の松山を波が越えないように
(浮気はしない)と仰ったことを
紫の上をまたも傷つけた
源氏は
暫く明石の君のもとに通わなかった。
□
年が明けた。
朱雀帝は近く譲位しようと考えているが
*東宮には頼りになる後見人がいない。
*東宮/皇太子
源氏と藤壺宮との子で後の冷泉帝
但し、系図上は桐壺帝(当時)の子
源氏に都へ戻るよう*宣旨を出した。
*宣旨せんじ 政府の命令
「やっと都に戻れる!」
源氏は喜色満面だが
それは身籠っている明石の君
との今生の別れを意味する。
□
秋になり
帰京目前となっても
源氏と明石の君は別れ難い様子。
■
源氏を乗せた舟が
都へ向けて明石の浦を離れると
明石の君は泣き崩れ、
中央への飛躍の
悲願を断たれた入道は茫然自失。
小一時間経った頃、
気を取り直した入道は、
自らを勇気づけ娘を慰める。
「お腹の子がいるから、いつか、必ず!」
次回から、《野宮神社》