源氏物語名場面㉒
都落ち前夜 弐
明石~須磨
《東海道・山陽本線 快速》に乗って約12分。
瀬戸内海に煌めく
陽光を楽しみながらの小さな旅です。
■
出立の夜は、
紫の上と水入らずで過ごした。
ただ
夜が更けるにつれて
源氏は
紫の上の行く末が気になってくる。
「須磨という鄙びた土地で
もし
私が世を去るようなことがあれば
紫の上は一体どうなるのだろうか」
源氏、
○生ける世の 別れを知らで 契りつつ
命を人に 限りけるかな
この世に生き別れがあることを知らず
命の限り別れまいと何度も約束しました
紫の上、
○惜しからぬ 命に代へて 目の前の
別れをしばし とどめてしがな
(源氏の君とお別れするのなら)
惜しくもないこの命にかえて
今のこのお別れの時間を
暫くでも引き止めたいものです
源氏は
夜明けを待たず
惟光や良清などほんの数名の
従者とともに須磨へ旅立って行った。
一行は、
都を出ると舟で淀川を―。
次回から、須磨