源氏物語名場面㉑
都落ち前夜 壱
明石<播磨◆須磨<摂津
■
朧月夜との密会の現場を
右大臣に目撃され追い詰められた
源氏は
「実子である東宮/
後の冷泉帝に累が及ばないよう」
朝廷から流罪
などの罰を受ける前に須磨下向を決意。
幼い夕霧や
頭中将など左大臣家の人々や
藤壺尼宮に暇乞いの挨拶に出向き
東宮と花散里ら女君には手紙を認めた。
紫の上は
須磨へ同行したいと懇願するが、
人里離れた漁村に連れて行けるはずもない。
【二条院】
で留守を守ってくれる
紫の上に
領地や家臣や財産など全てを託した。
須磨へ旅立つ
前日
故桐壺院の御陵に参拝すると
父院の悲痛に満ちた幻影が現われる。
院は生前
時の朱雀帝/右大臣の孫に
「私の没後、光を右大臣家から守るよう」
繰り返し申し渡している。
亡父の
怒りの混じる悲しげな表情に
源氏は
珍しく己の所業を悔いた。
出立の夜は、
紫の上と水入らずで過ごした。
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