源氏物語名場面⑬
女楽四重奏
女楽四重奏
源氏は朱雀院の『五十の賀』に披露するため
【六条院】《春の御殿》の寝殿において
〈女楽四重奏〉の予行練習を催した。
女三宮/琴の琴 紫の上/和琴
明石女御/筝の琴 明石の君/琵琶
源氏は
兄朱雀院50歳の祝賀に備えて
*女三宮に琴の琴を指南していた。
□
*女三宮
源氏は朱雀院に押し付けられて結婚するが、
それまで快活だった紫の上に暗い影が差し始める。
源氏が関わった
女君で幸せな晩年を迎えたのは
娘が中宮/明石中宮に昇った明石の君のみ。
娘が中宮/秋好中宮になった点では、
六条御息所も同じだが死後のこと。
□
祝賀に先立つ1月19日、
【六条院】の『寝殿』に
女三宮、紫の上、*明石女御、明石の君
の四人が勢揃い、
〈女楽四重奏〉と称して演奏会を催した。
◆
*明石女御
源氏と明石の君の娘は
明石女御として入内、のちに中宮。
〈明石の君の娘〉では
身分的に入内できないので
入内前に〈紫の上の養女〉となる。
明石の君は
幸せな後半生を送るが
この頃は、
(頭では分かっているものの)
娘を取り上げた源氏への恨みと
紫の上に対する嫉妬に苛まれていた。
琵琶 琴の琴 和琴 箏の琴
【風俗博物館】
◇
当日
源氏は楽器の弦の調整のため
各楽器に精通している夕霧を呼んだ。
調弦が終わり演奏が始まると
四人とも見事な撥捌きを披露した。
明石の君
の素朴で古風な琵琶の音色
は聞き手の郷愁を呼び覚ます。
夕霧は
憧れの紫の上が奏でる
和琴の音色に聴きいっている。
やさしい爪弾きで音色が華やかだ。
女三宮の
琴の琴はまだまだ未熟だが、
他の楽器の音色と調和している。
「ずいぶん上達された」
第31帖『若菜下』
Pachelbel - Canon -
Stringspace String Quartet
パッへルベルカノン弦楽四重奏