源氏物語名場面⑩
雨夜の品定め
雨夜の品定め
■
.◇五月雨の一夜、
17歳になった源氏の部屋に
親友で義兄の頭中将が訪ねてきた。
頭中将が
数多の女君たちから源氏宛の手紙を
読もうと物色していると左馬頭さまのかみ
と藤式部丞とうしきぶのじょうが顔を見せた。
若い源氏のほかは
恋の手練ればかりである。
いつしか女君たちの品評が始まった。
◇
口火を切ったのは左馬頭。
「妻として完璧な女などいません。
家を治めることは国を治める
ことより難しいようです。
そもそも
妻選びに心を砕くのは好色からと
いうより素直で賢い女と一生を
共にしたいからでしょう」
体験談
「嫉妬深い女が私の指を思いっきり
噛んだので腹が立って何日か口を聞か
なかったら、なんと死んでしまいました。
―
嫉妬さえしなければ良い女でしたのに」
また
「浮気性の女と付き合いましたが他に男
がいることが分かってすぐに別れました」
結論
「その時々に必要な良識や判断力があって、
出しゃばらない謙虚な女が理想です」
◇
次は頭中将が深刻な話を―、
「女は、*中の品の女が良い」
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