源氏物語名場面⑨
六条御息所と葵の上の車争い
車争い
住吉如慶画『源氏物語帖』から
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葵祭/賀茂祭の*行列見物の場面。
*行列のハイライトは
源氏の颯爽とした馬上姿
◇
賀茂祭の行列が通る都大路
には源氏の雄姿を一目見ようと
物見の牛車がびっしり並んでいる。
その特等席の一角で
六条御息所の従者たちと葵の上の従者
達が牛車を停める場所を巡って争っていた。
しかし
如何せん多勢に無勢。
六条御息所の牛車はたちまち葵の上
の従者たちによって退かされ破壊された。
葵の上は見て見ぬ振り
従者たちの狼藉を止めようとしなかった。
そんな時
源氏の行列が目の前を通り
葵の上の牛車に気が付いたのか
行列の主人公がにっこり微笑んだ。
むろん
牛車を壊された
六条御息所に気付くはずもない。
この時ほど
惨めな思いをしたことはなかった。
この車争いは、
後日
夕霧を出産した葵の上を
御息所の生霊がとり殺す要因となる。
■
六条御息所
前東宮妃&源氏の学問の師にして愛人
葵の上
左大臣の娘・母親は桐壺帝の妹
源氏の北の方
当時の
両者の力関係は葵の上に大きく傾いている
第9帖『葵』