源氏物語名場面⑧
出生の秘密
産まれたばかりの薫を抱く源氏
『源氏物語絵巻』
国立国会図書館デジタルコレクション
◇
他言無用
母:女三宮(源氏の北の方)
生物学上の父:柏木(頭中将の嫡子)
戸籍上の父:光源氏(48歳)
当時
権力者であった源氏は
薫が女三宮と柏木の不義密通の
子と知りながら我が子として育てた。
あたかも
故桐壺帝が知ってか知らずか
(気付いていると仄めかし
ているとも読める場面あり)
源氏と藤壺の不義の子/後の冷泉帝を
生涯わが子として大事に育てたように。
▭
付記すべきは
向後藤壺が息子を守
るためだけに生きたこと。
何があろうと、
子供は《桐壺帝の皇子》で押し通す。
そういう強い決意を身にまとう。
二度と過ちを犯さないために出家した。
もし
発覚すれば
親二人だけではなく子供も
間違いなく宮廷から追放されよう。
▭
但し
源氏は父と違い柏木に無言の圧力を
かけ続けついに死に追いやってしまう。
薫自身は
源氏と少しも似ていないので、
自分の出生に疑問を抱きつづけた。
第36帖『柏木』