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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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⑦末摘花

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源氏物語名場面⑦

 

末摘花容貌

             すえつむはな

 

光源氏

早朝の雪明かりの中で

*末摘花の類まれな容貌を初め

て目の当たりにしてビックリ仰天!

 

*末摘花

常陸宮の一人娘だが父没後、宮家は零落。

今は荒れ果てた邸に

年老いた女房たちと住んでいる。

 

 

源氏は

すでに再三逢っている末摘花何故

いつも衣服の袖で顔を隠す理由

ず是非とも彼女の姿

見たいと思っていた。

一計案じる。

雪の激しく降りしきる寒い

の宵に末摘花のを訪ねたのだ。

翌朝

東の空が白みかけた頃

格子を上げてめる庭の

植え込雪が降り積もっている。

 

まだ眠りから覚めやらぬ末摘花に、

 

「雪景色が美しいので、こちらに来てごらん」

 

雪明かりに照らされる所まで誘い

庭の植え込みを眺める振りをしながら

気付かれないよう横目で彼女の姿を見た。

 

座高が高すぎる。

鼻の形が象のようで、

先が垂れ赤く色づいている。

額が異様に広いうえに顎が長い。

瘦せぎすで貧相だ。

ただ頭の形は良く長い黒髪は美しい。

 

源氏は

末摘花が隠そうとしていたものを

なぜ無理に見ようとしたのか、

ひどく後悔した。

末摘花に済まない気がした。

 

六帖『末摘花』

 


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