源氏物語名場面③
六条の家
(夕顔の住まい)
夕顔が脅されて引っ越した
六条の家
源氏物語手鑑 夕顔
和泉市
久保惣記念美術館デジタルミュージアム
◇
頭中将はかつて『雨夜の品定め』で語っていた。
「中流に良い女がいる」
念頭にあるのはまず夕顔。
二人には娘/玉鬘がいるが夕顔
と玉鬘の行方が急に分からなくなった。
頭中将はもうずいぶん長く逢っていない。
頭中将
の北の方が夕顔を脅したからである。
「夫が通っているそなたの【屋敷】
を荒くれ男どもを遣わして取り壊す」
夕顔は頭中将にも告げず娘や女房
たちと六条辺りの粗末な【家】に移った。
六条といえば、
六条御息所の【邸】のある通りである。
夕顔×北の方→夕顔×六条御息所
□
前回②夕顔と扇は
源氏が六条御息所の【邸】へ向かう途中
かつて世話になった乳母の家に立ち寄った際、
隣の夕顔の【家】の庭でのエピソ-ドであった。
その時の夕顔から源氏への贈歌、
○心あてに それかとぞ見る 白露の
光そえたる 夕顔の花 夕顔
この和歌は
夕顔のコケティッシュな一面を示している
こうした性格が
頭中将それから源氏を虜にした
反面
源氏に執着している六条御息所と
夫に浮気されていた北の方に
殺したいほど憎悪されたのだろう