源氏物語名場面②
夕顔の花と扇
夕顔の花と扇
源氏物語手鑑-夕顔
和泉市
久保惣記念美術館デジタルミュージアム
源氏が、
六条御息所の【邸】に通っていた頃。
〈当初は生徒として先生に教えを乞うため〉
帝の子息か学問
を修めるために通うほど
御息所は高名な教養人であった。
しかも
前東宮妃で気品あふれる麗人。
ある日、
源氏は六条の【邸】へ向かう途中
病気療養中の前乳母を見舞う。
門が開くまで
乳母の家の前で牛車に
乗ったまま辺りを眺めている
と隣家の庭に白い花が咲いている。
「あの白い花の名前は?」
源氏が尋ねると従者、
「夕顔と申します。
垣根に巻き付くように咲きます」
「一房、折ってまいれ」
従者が一房折ると、
家から童女が出て来て手招きをした。
そして、
香を焚きしめた扇を差し出す。
「この扇の上に置いて、差し上げてください。
夕顔の枝は、風情がございませんから」
扇に、次のような和歌が認めてあった。
○心あてに それかとぞ見る 白露の
光そえたる 夕顔の花 夕顔
当て推量ですが源氏の君ではございませんか
白露に光を添えている夕顔の花のような方は
源氏の返歌、
○寄りてこそ それかとも見め 黄昏に
ほのぼの見つる 花の夕顔
近寄ってその人が誰かを確かめたら如何ですか。
黄昏にほのぼのと見える夕顔の花を