直実、扇を上げて敦盛を招く 須磨寺「源平の庭」神戸市
経正は歌も詠む俊才として知られ、ことに琵琶の名手として名声を得た。
藤原俊成や仁和寺門跡の守覚(しゅかく)法親王ら文化人との親交が深く、守覚から中国伝来の琵琶の名器・青山(せいざん)をいただいた。
経正の、琵琶の腕前にまつわる逸話が残っている。
北国で挙兵した木曾義仲を討つべく平家の大軍が出陣したとき、経正は琵琶湖に浮かぶ竹生島に戦勝祈願に向かった。
都玖武須磨神社に詣でると、神主が琵琶の名手・経正が参拝している事を知り、琵琶を弾いてくれるように頼む。
経正が弾き始めると、琵琶の音はこの世のものと思えぬほどに美しく、その妙なる楽の音に誘われて、白龍が現われ、経正のまわりを飛んだという。
白龍に吉兆をみた経正は、北国での勝利を確信した。
だが、平家は倶利伽羅峠の戦いで木曽軍に惨敗、経正も都へ逃げ帰るがほどなく都落ちする。
都落ちのさいに隊列を離れ、青山を預けるために危険を冒して仁和寺に駆けつけた逸話は有名だ。
経正は、一ノ谷の戦いにおいて河越重房の手勢に討ち取られる。
同じころ、近くで弟の敦盛を討った熊谷次郎直実は自身が武士であることを嘆き、あたり憚らず男泣きに泣いていた
…… ……
○みぎはにうち上がらむとするところに、押し並べてむずと組んでどうど落ち、取つて押さへて首をかかむと甲を押しあふのけて見ければ、年十六、七ばかりなるが、薄化粧して、かね黒なり。
敦盛が波打ち際に上がろうとするところを、直実は馬を並べて、むんずと組んでどっと落ち、取り押さえて首をとろうと甲を脱がすと16~7歳ほどで、薄化粧をしてお歯黒に染めている。
○わが子・小次郎が齢(よはひ)ほどにて、容顔まことに美麗なりければ、いづくに刀を立つべしともおぼえず。
わが子・小次郎の年齢ほどの美少年、どこに刀を突き立てたらいいか分からない。
…… 原文に忠実な訳ではありません ……
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平家物語の群像 敦盛②容顔まことに美麗なり
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