源氏物語
第33帖藤裏葉
光源氏39 紫の上:31 東宮(春宮) 明石の君:30
明石の姫君:11 夕霧:18 雲居の雁:20
夕霧草
内大臣、
「弁少将は、皮肉な催馬楽を謡うものだな」
酒を酌み交わしながら和歌を詠んだり楽器を弾いたりしているうちに、内大臣と夕霧のわだかまりもすっかり解けてしまったようである。
夜が更けてゆくにつれて、夕霧は深酒のせいか非常に苦しそうな表情で柏木に訴えた。
「飲みすぎて気分が悪いので、帰り道が不安です。
今夜、こちらに泊まらせて頂きたいのですが---」
内大臣、
「柏木中将、、夕霧殿がお休みになるお部屋を用意して差し上げなさい。
老人は、酔いが回ったので失礼するよ」
柏木、夕霧に
「花の下の旅寝とは、結構なことですね。
私など、つまらない浮気の案内人ですよ」
柏木が冗談めかして言うと、夕霧が反論した。
「松(夕霧)と契りを結ぶのは浮気な花(雲井の雁)でしょうか。
縁起でもありません」
柏木は、妹の雲井の雁を奪おうとしている夕霧を憎らしいと思わぬでもない。
しかし、彼の人柄が素晴らしく、また以前から二人に結ばれてほしいと望んでいたことでもある。
喜び半分悔しさ半分で、夕霧を雲井の雁の部屋へ案内した。
夕霧はこの一夜を夢かと思う一方、自分の男としての成長ぶりに秘かに満足していた。
雲居雁はうれしくも恥ずかしい夜だったが、つつしみ深い美しい女性に成長している。
筒井筒の幼いころから恋人同士だった二人が、内大臣によって引き裂かれた長い期間を経て、やっと思いが叶ったのだ。
女房たちが若い恋人たちを起こすのをためらっていると、内大臣がやって来た。
「二人とものんびりと朝寝か、いい気なものだ」
真冬の帰り道
ザ・ランチャーズ