源氏物語
第33帖藤裏葉
光源氏39 紫の上:31 東宮(春宮) 明石の君:30
明石の姫君:11 夕霧:18 雲居の雁:20
雲井の雁
内大臣の外腹(劣り腹)の娘で
祖母・大宮のもとでイトコの夕霧と共に育てられた。
恋仲になった二人は
内大臣によって一時その仲を裂かれたが
やがて結婚を許され子宝に囲まれた幸せな家庭を築く。
夕月夜
○ なにとなく 君に待たるる ここちして
出でし花野の 夕月夜かな 与謝野晶子
柏木は父親の意向をくんで、とりわけ色が濃くて長い藤の花房を手折って夕霧の盃に添えた。
思わぬことに夕霧が戸惑っていると、内大臣、
○ *紫に かことはかけむ 藤の花
*まつより過ぎて うれたけれども
紫のせいに致しましょう。
藤が松を超えるほど貴方の(結婚)申し込みを
長く待たされたことは辛いことでしたが--
*紫は、雲居雁。 *まつは、「松」と「待つ」の掛詞。
夕霧は盃を上げ頭を下げて、感謝の気持ちを現した。
○ いく返り 露けき春を 過ぐし来て
花の紐解く 折にあふらむ
幾たびも涙に濡れた春を過ごして来ましたが
ようやく結婚のお許しを得ることができました。
花の紐解く
花の実父や兄弟の前での、今の感覚から
すると考えられないエロティックな表現
柏木に盃を回した。
○ たをやめの 袖にまがへる 藤の花
見る人からや 色もまさらむ
たおやかな女性の袖に見違える藤の花は
見る人によっていっそう美しさを増すことでしょう
次々に盃を回して和歌を詠み添えていったが、後の者になるほど酔いが回っていて、上の3首より優れた歌はできなかったようだ。
七日の夕月夜、月の光はかすかなのに、池の水は磨きたてた鏡のように静かに澄み渡っている。
まだ梢に枝葉が生い茂っていない時分なので、低く根を張っている松に咲き掛かっている藤の花がとても美しく見える。
例によって、弁少将がやさしい声で催馬楽「*葦垣」を謡った。
*葦垣
男が好きな女を連れ出そうとした時、
告げ口する者がいて失敗するという内容の歌
内大臣、
「弁少将は、皮肉な催馬楽を謡うものだな」
清少納言と紫式部
Love Me With All Of Your Heart
Engelbert Humperdinck