第三十一帖真木林
光源氏37~38 紫の上29~30 蛍兵部卿宮 玉鬘23~24
内大臣40~41 秋好中宮28 夕霧16~17 明石の君:28
柏木21~22 明石の姫君9~10 髭黒大将32~33
花散里23~24 弁少将 雲井の雁 冷泉帝19~20
真木林 (髭黒の娘)
近江の君
侍女と双六に興じている。
ひどく醜いうえに融通の利かない末摘花すえつむはな
若い男を見ると色目で誘う好色な老女源典侍
げんのないしのすけ
早口で無教養・無神経な近江の君の3人を三大滑稽という。
今の感覚からすると他人事ながら不愉快だが、
『源氏物語』に添えられた「物笑い「」の対象。
源氏はあい変わらず、日がな一日、玉鬘の面影ばかりを追い求めている。
「それにしても、酷いことをするものだ。
まさか、あの堅物の髭黒大将に玉鬘を奪われるとは夢にも思っていなかった。
前世からの縁を軽く見るわけではないが、私が迂闊すぎたから、これほどの苦しみを味わわねばならないのだ」
色好みの者は自らすすんで恋の苦しみを求めるものだが、それにしても、玉鬘はすでに人妻である。
今さら何の甲斐があって、心を悩ましているのだろうか。
源氏は気持ちを静めようと琴を掻き鳴らしているうちに、以前、玉鬘がやさしく弾いていた爪音を思い出して涙ぐんだ。
【六条院】の庭に咲き匂っている藤や山吹などを眺めていても、いつの間にか、脳裏は玉鬘の麗しい姿に占められる。
十一月、玉鬘は玉のように可愛らしい男の子を産んだ。
髭黒は、飛び上がらんばかりに喜ぶと同時に、これで玉鬘と本物の夫婦になれるだろうと淡い期待を抱いた。
内大臣は、ようやく玉鬘に運が開けてきたと安心している。
柏木は、玉鬘を実の姉として慕うようになっているが、時折、なにか物言いたげな素振りを見せることがある。
ある日、こんなことを口にした。
「姉君はせっかく参内されたのだから、皇子をお産みになればよかったのに---」
何より、『内大臣家』の繁栄を願っている。
「皇子にひとりも恵まれないことを、冷泉帝はとても嘆いておられます。
もし、姉君の御子が帝の皇子であれば、わが家はどんなに面目を施しだことでございましょう」
内大臣の娘で、尚侍を望んでいた近江の君は、近ごろ妙に色気づいてソワソワと落ち着かない風情である。
深夜のラジオから
タンホイザー序曲 /Tannhauser Overture
:Wagner/ワーグナー