第三十一帖真木林
光源氏37~38 紫の上29~30 蛍兵部卿宮 玉鬘23~24
内大臣40~41 秋好中宮28 夕霧16~17 明石の君:28
柏木21~22 明石の姫君9~10 髭黒大将32~33
花散里23~24 弁少将 雲井の雁 冷泉帝19~20
真木林 (髭黒の娘)
香炉こうろ 伏籠ふせご
北の方はしばらく脇息に寄りかかって休んでいたが、突然、立ち上がった。
そして大きな伏籠の下にあった香炉をつかむや、髭黒の背後に近づいていきなり大量の灰を浴びせかける。
一瞬の出来事に、髭黒は何があったのか咄嗟には呑み込めずただ茫然としていた。
頭髪や衣服などが灰まみれになっているだけでなく、灰が目や鼻や耳にも入りこんでいる。
「物の怪の仕業だろうが、それにしてもこれはヒドイ」
髭黒はほとほと愛想が尽きはてたが、それでも、゛今、事を荒立てたら大変なことになる、と思って気持ちを静めた。
被災地を選べば支援になります
夜中ではあるが、僧などを呼んで加持祈祷をさせた。
北の方は物の怪*調伏のために、僧に*打擲されたり引き回されたりして泣きわめきながら夜を明かした。
明け方になって北の方が少し静かになったころ、髭黒は玉鬘に手紙を認める。
「昨夜は急に病人が出た上に雪が降りしきって出かけられなくなりました。
あなたをさぞかし寂しい気持ちにさせたことでございましょう」
*調伏 降伏ごうぶく
㋐心身をととのえて、悪行を制すること。
㋑祈祷によって悪魔・怨敵おんてきを下すこと。
*打擲ちょうちゃく 叩くこと。なぐること
玉鬘は髭黒が通ってこないのを何とも思っていないので、髭黒からの手紙など目もくれなかった。
深夜のラジオから
John Denver
Take Me Home, Country Roads
故郷へ帰ろう ジョン・デンバー