第三十一帖真木林
光源氏37~38 紫の上29~30 蛍兵部卿宮 玉鬘23~24
内大臣40~41 秋好中宮28 夕霧16~17 明石の君:28
柏木21~22 明石の姫君9~10 髭黒大将32~33
花散里23~24 弁少将 雲井の雁 冷泉帝19~20
真木林 (髭黒の娘)
格子の上げ下げは女房たちの朝夕の仕事であった。
風俗博物館
夕闇が迫るころiになると玉鬘のもとへ出かけるのが日課になっている髭黒はソワソワし始めたが、その日はあいにく雪が降りしきっていた。
髭黒はどうしたものかと格子を上げたまま、ぼんやりと物思いに耽っている。
北の方がその様子を見て、
「この雪の中をお出かけになるのはさぞかし大変でございましょう。
でも、そろそろ夜も更けたようですわ」
外出を促すように声をかける。
「この激しい雪の中、どうして出かけられましょう」
「お出かけにならなくても、あなたのお心があちらにあれば返って辛うございます。
反対に、他所にいらしても時折わたしを思い出してくださるなら、涙に濡れた袖もきっと乾くことでございましょう」
不思議なくらい穏やかな口ぶりである。
しらたまの 歯にしみとおる 秋の夜の
酒はしづかに 飲むべかりける
北の方は香炉を持ってこさせて、髭黒の衣装に香をていねいに薫きしめた。
北の方自身は、糊気の落ちた皴々の粗末な衣装である。
長年連れ添ってきた妻のあまりにも貧相な姿に髭黒は心が痛むが、それでも玉鬘のもとへ行きたい気持ちが募ってきた。
*侍所から従者たちの声が聞こえてきた。
「雪がやっと小止みになりました。
そろそろ出かけられそうでございます」
「夜がすっかり更けてまいりました」
北の方は脇息に寄りかかって休んでいたが、突然、立ち上がった。
*侍所さむらいどころ
・平安時代、三位以上(院・親王・摂関・公卿)の家に仕え、事務を司っ
た侍の詰め所。
・鎌倉および室町幕府における警護の武士の詰め所。
悪夢
首里城、燃ゆ
もとの姿
やわらかで凛とした大和撫子
八千草薫さん、逝く
難民支援に人生をかけた世界人
緒方貞子さん、逝去
深夜のラジオから
さすらい 奥田民生
あらゆる旅は
その速さに比例してつまらなくなる。
ジョン・ラスキン(英)