第三十帖 藤袴
光源氏37 紫の上29 蛍兵部卿宮 玉鬘25 内大臣40
秋好中宮28 夕霧16 明石の君:28 柏木21
明石の姫君9 髭黒右大将32 花散里23
雲井の雁 弁少将 近江の君
冷泉帝19
*妹背山いもせやま
吉野町上市の東方にある妹山260mと背山272mの総称。
浄瑠璃や歌舞伎の演目『妹背山婦女庭訓』の舞台。
藤原鎌足の蘇我入鹿討伐を主題に『三輪山伝説』
などをまぶして脚色した『ロミオとジュリエット』風の作品。
*妹背 夫婦、兄妹、姉弟
緒絶橋おだえのはし
⦅歌枕⦆ 宮城県大崎市にあったという橋。
男女の仲が「絶える」意をかけ
不安定な恋のたとえに用いられた。
「父上が嫡男のわたしを使者に選ばれたのは、人を介してではなく直にお話しせよということでございます。
御簾で隔てられたうえに女房をあいだにおいて、一体どのように大切なお話しをすればよろしいのでしょう。
柏木が不満を述べると、玉鬘、
「色々とお話ししたいこともございますが、先日からいっこうに気分がすぐれず起き上がることも叶いません。
それをそんなにお咎めになるとは、肉親の情がおありになるとは思えません」
柏木、
「人目を憚かって、こちらに参上することを遠慮しておりました。
父上は姉君がいつどのように参内されるのか、たいへん気がかりに思っておられます」
夕霧、
○ 妹背山 深き道をば 尋ねずて
緒絶の橋に 踏み迷ひける
実の姉弟という深い事情を知らないで
かなわぬ恋の道に踏み迷ったことでした
玉鬘、
○ 惑ひける 道をば知らず 妹背山
たどたどしくぞ 誰も*ふみ見し
あなたと姉弟であることを知らず
恋路に踏み迷われているとも気づかず
お手紙を拝見しておりました
*ふみ 「文」と「踏み」の掛詞
髭黒大将は柏木と同じ『右近衛府』の長官なので、たびたび柏木を呼んでは玉鬘との結婚を内大臣にとりなしてくれるよう頼んでいた。
髭黒は人柄がよく、将来は摂政ともなりうる家柄の出身である。
内大臣は、
「玉鬘の婿として、何の不足があろう」と思っているが、源氏が尚侍にと決めていることにどうして反対することができよう。
その時歴史が動いた ミステリー大化改新 ~
蘇我入鹿暗殺の実像
妹背山婦女庭訓