藤原氏系図 (鎌足~師実)
藤原道隆 道兼みちかね 道長
伊周これちか (隆家)
紫式部は何のために、『源氏物語』を書いたのか
当時の、一条天皇の気を引くためである。
紫式部自身が、ではもちろんない。
*兄たち特に長兄の道隆没後、彼の*息子たちとの骨肉の争いを勝ち抜いた藤原道長の依頼である。
道長には、彰子しょうしという娘がいた。
入内させることには成功するが、一条の寵愛は先に入内していた道隆の長女、定子ていしにあった。
そのためか、彰子の部屋には足を運んでくれない。
このままでは、道長は念願の「天皇の外祖父」になれない。
権力基盤を固めるには彰子が一条との間に男子をもうけて、その子が天皇にならなければならないのだ。
そのためには、是が非でも、一条の足を彰子の部屋に向けさせなければならない。
道長は思案した。
一条はなぜ、定子の部屋に入りびたるのか。
そして、理由の一つを思いつく。
素晴らしく機転がきいて漢詩の素養もある才女、清少納言を中心とした「文化サロン」的な雰囲気を、一条は気に入っているのではないか。
一条自身も、かなりの文化人と聞いている。
つい先ごろ、清少納言は、『枕草子』という軽妙洒脱な随筆をものしたという。
*兄たち 藤原道隆 道兼
*息子たち 藤原伊周 隆家
道長は、「定子サロン」に対抗できる高度な文化の雰囲気ただよう「彰子サロン」の必要性を痛感する。
清少納言と渡り合える優れた女房はいないか。
道長は周囲の者たちに尋ねまわって、文才があり学識もすこぶる高いと評判の紫式部を知った。
そして、彰子の家庭教師役の女房として招き、教養人の一条が読みたくなるような面白い物語を書くように依頼する。
そうして、生まれたのが『源氏物語』である。
道長の作戦は的中した。
その比類のない面白さが宮中に広く知られるようになり、数日も経たないうちに一条の耳にはいった。
『源氏物語』を読んでみると、実に面白い。
続きを早く読みたい。
こうして、一条は彰子のもとへ通うようになる。
ほどなく、皇子(のちの後一条天皇)誕生。
その結果、
○ この世をば わが世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも なしと思へば 藤原道長